障害者雇用・転職

障害者雇用で職場に馴染むには?仕事の進め方と相談のコツ

新しい職場で、「どう仕事を進めればよいのか」「分からないことを、いつ誰に聞けばよいのか」と迷うことはありませんか。ミスをしたとき、どう伝えればよいか悩むこともあると思います。

私は聴覚障害と発達障害の当事者で、転職や異動を通じて複数の職場を経験してきました。企業で採用を担当した経験もあります。

新しい職場で「馴染んでいるね」と言われたことがある一方、以前は相手の反応を気にしすぎて、報告や相談の前に一人で悩んでいました。

その経験から、働きやすくするには、担当する仕事と相談方法を確認し、困ったことを調整できる関係をつくることが大切だと考えています。この記事では、仕事を教わるときの確認、話しかけることへの不安、ミスへの対応、必要な配慮の相談方法を紹介します。

まずは、担当する仕事と相談先を確認する

障害者雇用でも、担当業務や求められる役割は、会社や職種によって異なります。仕事を教わるときは、次の点を確認すると、進め方を共有しやすくなります。

  • 何のための作業で、どこまで担当するのか
  • いつまでに、どのような状態に仕上げればよいのか
  • 複数の仕事がある場合、どれを優先するのか
  • 自分で判断してよい範囲と、確認が必要な場面はどこか
  • 分からないことや進捗を、誰にどう伝えるのか

説明を聞いただけでは判断しづらい場合は、完成例や手順書を見せてもらう方法もあります。

たとえば、作業前に次のように確認できます。

この見本と同じ形式で、今日の午後までに作成する、という理解で合っていますか。

資料を作成する仕事なら、すべて仕上げる前に、見出しや盛り込む内容をまとめた案を見てもらう方法もあります。途中で確認するタイミングを決めておくと、方向性の行き違いに早めに気付けます。

疑問があれば、仕事を覚えている段階から聞いて構いません。どこまで理解できていて、どこが分からないかを具体的に伝えてみてください。

職場で話しかけられないときは

私は以前、報告や相談をする前に、「今話しかけたら迷惑ではないか」「こんなことを聞いたら馬鹿にされないか」と考え続けていました。相手に話しかける前から、疲れてしまうこともありました。

心理カウンセリングを受ける機会に教わったのが、「確認できた事実と、自分の想像を分けること」と「心配していることが起きた場合の対応を考えること」です。私には、この考え方が職場でのコミュニケーションを楽にする助けになりました。

相手の気持ちを想像する前に、確認できることを見る

たとえば、「相手が電話中である」は、その場で確認できる事実です。一方、「今質問したら、面倒な人だと思われる」は、相手に確かめていない想像です。

相手の様子や、これまでのやり取りを手掛かりにすることはあります。ただ、予想した気持ちまで事実として扱うと、話しかけるタイミングを決められなくなります。

電話中や会議中を避け、短く都合を聞いてみる方法があります。

作業の進め方について、一点確認したいことがあります。今、少しお時間はありますか。

相手の反応を頭の中で予想し続ける代わりに、確認できることを一つ増やす、という考え方です。

今話せない場合の、次の方法を決めておく

「後にして」と言われた場合も、次にどうするかを確認しておくと、相談を先延ばしにせずに済みます。

では、何時ごろならお話しできますか。

先にメールで要点を送ってもよいですか。

相談するタイミングに毎回迷うなら、急ぎでない質問をまとめて確認する時間を設けてもらうことも、相談の選択肢です。

一方、締切が迫っていることや、安全に関わることは、その緊急性を伝えましょう。担当者が不在のときに誰へ連絡するかも、あらかじめ確認しておくと安心です。

仕事が止まったときは、状況と確認したいことを伝える

分からないことがあって作業が止まった場合は、どこまで進み、どこで止まっているかを伝えます。次の三つを短く整理すると、相談しやすくなります。

  1. どこまで作業が終わっているか
  2. 何が分からない、または難しいのか
  3. 何を確認・調整してほしいのか

たとえば、次のように伝えられます。

入力は終わりましたが、この三件は分類を判断できず、確認が止まっています。どの区分に入れるか教えてください。

仕事が重なっている場合も、間に合わない可能性に気付いた段階で、優先順位や期限を相談できます。

Aの作業には今日いっぱいかかる見込みです。Bも今日中の締切ですが、どちらを先に進めるか確認したいです。

口頭では話をまとめにくいなら、要点をメモしてから相談する方法もあります。状況を共有したうえで、次に何をするかを確認しましょう。

ミスが起きたときは、早めに状況を共有する

私も以前、周囲からどう見られるかを気にして、ミスを自分だけで何とかしようと抱え込んだことがありました。

ミスに気付いたときは、影響を広げないために、担当者や上司へ早めに状況を伝えることが大切です。原因や対応策がすべて分かるまで、報告を待つ必要はありません。

分かっていることを伝え、対応を確認する

報告するときは、次の点を整理します。

  • 何が起きたのか
  • どこまで影響が分かっているか
  • 現在の状況と、確認してほしいことは何か

影響や原因が分からない場合は、その点も伝えてください。

たとえば、資料の誤りに気付いた場合の伝え方です。

作成した資料に入力の誤りを見つけました。まだ送付していません。修正後に確認をお願いできますか。

すでに相手へ送った資料や、他の人の作業に関わるものなら、訂正の方法や連絡する相手を確認しましょう。自分の判断で修正・再送してよい範囲が分からないときは、まず指示を仰ぎます。

必要な謝罪や訂正を行い、対応が終わったことも共有すると、関係者が状況を把握できます。

同じミスを減らすために、手順と確認方法を見直す

対応が落ち着いたら、「次は気を付ける」だけで終わらせず、どの場面で行き違いや抜けが起きたかを振り返ります。

たとえば、次のような見直しが考えられます。

  • 指示が曖昧だった部分を確認し、手順書に追記する
  • 抜けやすい確認項目をチェックリストにする
  • 迷いやすい判断について、具体例を残す
  • 作業量や期限に無理がある場合は、優先順位を相談する

私は、手書きのメモを取っても、後からどこに書いたか分からなくなったことがありました。そのため、指摘されたことや改善点は、仕事や場面ごとに整理できるデジタルの記録を勧めています。

ただし、記録方法は自分が使いやすいもので構いません。会社で使えるツールにまとめ、必要な作業の前に見返せるようにしておくことが大切です。

ミスの繰り返しには、仕事の説明や確認体制、業務量が関わる場合もあります。自分でできる工夫と、職場に相談したい調整を一緒に考えてみてください。

必要な配慮は、仕事上の困りごとと一緒に相談する

指示を聞き取れない、口頭だけでは手順を確認しきれないなど、仕事の進め方に支障があるときは、必要な配慮を相談できます。入社直後や、仕事を覚えている途中でも、困りごとを伝えて構いません。

雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主に合理的配慮の提供が義務付けられています。具体的な方法は、本人の意向を尊重して話し合い、過重な負担にならない範囲で検討します。厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」

相談するときは、「どの場面で、何に困っているか」を伝え、希望する方法があれば添えてみてください。

たとえば、口頭の指示を聞き取りにくい場合の伝え方です。

口頭だけでは、聞き取れない部分があります。作業内容と期限をメールでも共有していただけると、確認しながら進められます。

自分で解決方法を思いつかない場合も、困っている状況から相談を始められます。合理的配慮指針では、希望する措置を具体的に申し出ることが難しい場合は、仕事上の支障を明らかにすればよいとされています。また、会社にも、必要に応じて支障の有無を確認することが求められています。厚生労働省「合理的配慮指針・採用後の手続」

調整する内容が決まったら、誰がいつから対応するのかも確認しましょう。仕事内容や体調が変わったときは、配慮の見直しについて相談できます。

手順を変えたいときは、理由を確認してから提案する

仕事を進めるうちに、「この方法なら、もっと分かりやすいのではないか」と気付くこともあると思います。

その場合は、まず今の手順にどのような理由があるのかを確認しましょう。前後の作業とのつながりや、確認・承認のために必要な手順かもしれません。

改善を提案するときは、困っている箇所、変更したい内容、他の人の作業への影響を整理すると説明しやすくなります。実施してよい範囲を確認し、必要な承認を得てから試しましょう。

なお、今の仕事を進めるために必要な配慮は、改善案を作り込むまで待つ必要はありません。まずは、仕事上の支障を伝えるところから相談できます。

相談しづらい状態が続くときは、別の相談先も使う

仕事の確認ができない、困りごとを伝えても調整されない、質問するたびに強い言葉で責められる。そうした状態が続くなら、直属の上司だけで抱えず、人事担当者や社内の相談窓口に話すことも考えてください。

実際に責められたり、相談を拒まれたりしている状況は、話しかけ方の工夫だけで解決しようとしなくて構いません。いつ、何が起き、仕事にどのような支障が出たかを整理して伝えましょう。

必要な配慮が得られない場合の伝え方や相談先は、職場で障害への配慮がないときの対応にまとめています。

社外の支援も含めて相談先を探したいときは、障害者の就労支援機関を目的別に紹介した記事も参考にしてください。

職場に馴染むうえで、私が大切だと考えるのは、無理なく仕事を進めるために、確認や相談ができることです。まずは今迷っていることを一つ挙げて、誰とどう確認できるかを考えてみてください。

-障害者雇用・転職
-, ,

© 2026 むじなの障害者就労・障害年金ノート