障害者の就職・転職

障害者の採用面接で聞かれることは?採用担当者が教える頻出質問まとめ

2017年9月7日

目次

 

質問を想定できると、面接が変わる

障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。

前回の投稿で「面接?得意ですよ」みたいなことを言いましたが、結果的に勝率が高いのでそう言っただけで、面接自体は嫌いです。緊張する性質なもので。

しかし、私はすでに50社ほどの企業で面接を受けてきているので、大体どんなことを聞かれるのかは分かっています。なので、ある程度は落ち着いて面接を受けられるようになりました。

さらに、今は自分が面接する側を担当しているので、今後また転職活動をするとしても、これまで以上にスムーズに面接が受けられるだろうと思います。

しかし、転職の経験がない人・浅い人にとっては、「何を聞かれるのだろうか……」と考えているだけで、必要以上に緊張してしまうでしょう。そうすると、自分の実力を出し切れずに不採用という、一番悔しいパターンにハマってしまいます。

そこで、私がこれまで障害者として受けた面接の中で、頻出の質問をまとめてみました。

これさえ準備しておけば、ひとまず安心して面接を受けられると思いますので、「面接が不安だ……」と思っている方は、ぜひ参考にしてください。

 

自己紹介してください

頻出度:★★☆☆☆
重要度:★★★★☆

私の経験上あまり聞かれることはないですが、あるとすれば面接1発目の質問です。第一印象が重要なのは言うまでもありません。自分なりのパターンを作っておいてスムーズに伝えられるようにしておきましょう。

基本的にはこれまでの職歴(なければ学歴)を伝えればOKですが、一言添えて、仕事においてどのような価値観を大切にしているかを付け加えれば、その後自分のペースでアピールに繋げられるので更にGoodです。

私は、その企業がどのような人材を求めているのかを把握したうえで、数種類用意している文言を付け加えています。

例えば、「チャレンジフル・挑戦的」な企業であれば、

私は~の業務に携わってきました。私はこれまで、まずは自分が一番にやってみるということを信条に仕事に取り組んで参りました。よろしくお願いします。

みたいな感じです。ただし、「企業が求める人材像」を意識しすぎて、自分の実態とかけ離れたことをいうのはNGです。間違いなく後で深堀りされるので、「自分が語れるエピソードがある」ことが前提です。

しかし、うまくハマれば自分が聞いてほしいことに質問を誘導できますので、ぜひ自分なりの信条を伝えることをおすすめします。

「〇分間で自己紹介してください」など時間制限付きは経験がないので、あまり気にしなく良いと思います。不安なら、1分バージョンと3分バージョンくらい用意しておけば完璧でしょう。

 

障害についての内容

頻出度:★★★★★
重要度:★★★★★

  • きっかけ
  • 具体的な状態・症状
  • できること・できないこと
  • 通院・服薬
  • 配慮してほしい点
  • 障害を負った後の就業状況(仕事内容、何時間/日・何日/週の勤務か、安定して勤務できていたか)

障害者枠での応募であれば、この質問は必須です。プライバシーにもかかわることなので、まともな企業であれば、「答えられる範囲で」という前置きがあると思います。

しかし、面接官の不安を払拭するためにも、話せる範囲で詳細に話したほうがよいでしょう。「何か隠している」と思われては、それだけで「不採用」と判断されてしまうほど、重視している質問です。

多少自分に不利になりそうなことであっても、正直に伝えることで「すべて話してくれている」と思ってもらえたほうが、採用の可能性は高まると思います。

特に「配慮してほしい点」については、絶対に正直に伝えましょう。ここをごまかして採用されても、後で自分が辛くなるだけです。

正直に伝えておけば問題なく配慮できたことかもしれないのに、隠したばかりに我慢を強いられるかもしれません。

配慮できること、できないことは、企業によって全く異なります。なので、あまり先入観にとらわれずに、正直に話してみることをおすすめします。

 

何を重視して転職活動を行っているか

頻出度:★★★★☆
重要度:★★★★★

応募者の仕事に対する価値観を問うための質問です。細分化すれば、「自分なりの考えがあって転職活動をしているのか」「応募者の価値観は自社とマッチしているのか」の二点を見極めるためのものです。

嘘を言う必要はありませんが、応募企業のホームページ等から情報収集を行い企業の求める人材と乖離がないかを確認しておきましょう。また、複数回の転職経験がある方は、矛盾のないように整理しておきましょう。

この質問であいまいな回答をしてしまうと、「離職リスクが高い」と判断されるため、重要度MAXです。

類似質問:「前職(現職)への入社を決めた理由」「複数社で内定が出た場合、どのような観点から入社する企業を選ぶか」

 

前職(現職)の業務内容

頻出度:★★★★★
重要度:★★★☆☆

職歴があれば、100%聞かれると思っておいたほうがよいでしょう。重要なのは、事実(何をやったか)を伝えるだけでなく、どのような思いを持って、どのような役割(立ち位置)で業務に携わってきたのかを伝えましょう。

成果(業績)が誇れるものでなくても構いません。あなたがどのような思いで業務に取り組んでいたのかを伝えられれば良いのです。

語れるほどの経験がなくても、「お客様(他のメンバー)の負担を減らすため、〇〇を工夫してミスのないようにしました」くらいでOKです。

何をしたかも大切ですが、自分なりの思いを持って仕事に取り組んでいるかがポイントなので。主体性は重視されます。

 

退職(転職)理由

頻出度:★★★★★
重要度:★★★★★

「前職(現職)の業務内容」と同じく、職歴があるなら100%聞かれる想定でいましょう。企業側にとっては、「離職リスク」を見極めるうえでの最重要事項なので、ここをクリアにしておかないと採用は望めません。

どうせ聞かれることが分かっているので、職務経歴書に離職理由を記載しておくことをお勧めします。そのほうが、面接官からの質問も、応募者からの回答もスムーズに行えますからね。

▼ここからは参考程度に▼

正直、自分に不利になるような退職理由は、ごまかしても構わないと思っています

例えば、「ひどいパワハラが原因だった」場合、どれだけ自分に非はなくても、「人間関係が原因の退職」という理由で、あまり良い印象は与えられないでしょう。理不尽ですよね。

そして、そんなふうに評価されること自体、パワハラで傷を負った人には辛いはずです。

ならば、当たり障りのない(仕方なかったと思わせるような)退職理由を言ってしまっても構わないと思っています。

「あなたに非はなかった」ということを伝えるには、採用面接は時間が短すぎます。

あくまで参考程度ですが、具体的には下記のような感じで。

  • 入社の際、●●への配慮をお願いし、了承して頂いたのですが、入社後まったく配慮がなく、入社後も交渉を続けたのですが叶わず。●●がないと仕事を長く続けていくことは難しかったため、配慮頂ける職場で長く勤めたいと考え、退職を決意しました。

 

仕事で大変だったこと・それをどのように乗り越えたか

頻出度:★★★☆☆
重要度:★★★★☆

辛いことがあったとき投げ出してしまわないか、自発的に解決しようとする主体性があるかどうかを問う質問です。

「あなたがどういう人か」はさておき、統計で見ると障害者は全体的に離職率が高い傾向にあります。

なので、企業としては「この人は困難を乗り越えられる人だ」ということを確認したいのです。

できれば、周囲と協力して乗り越えた経験があればBESTです。協調性・コミュニケーション力は重視されるところなので、隙あらばアピールしましょう。

 

これまで仕事の中で大切にしてきた価値観は

頻出度:★★☆☆☆
重要度:★★★★☆

「何を重視して転職活動を行っているか」と関連しますが、こちらはもっとストレートに応募者の価値観を問う質問です。

日々の業務の中では改めて考えることは少ないかと思いますので、この機会に「何が自分のモチベーションになっているのか」をしっかり言語化しておきましょう。

「お客様に感謝されること」「困難な目標を達成すること」「チームで一緒に一つのものを作り上げること」「自分のスキルでチームに役立てること」など、これまでの職歴(経歴)で語れることであれば何でもOKです。

エピソードを添えて話す(どういうときに実感したのか)ということを意識して話すようにしてください。

類似質問:「これまでの仕事の中で、どのようなときにやりがいを感じたか」

 

パソコンスキルはあるか

頻出度:★★★★★
重要度:★★★★☆

事務職であれば必須の質問です。私は事務職しか応募したことがありませんので、100%聞かれました

Word・Excel(必須)、PowerPoint・Access(あればなお良し)について、どのくらいの実務スキルがあるのかを具体的に伝えましょう。

WordやExcelなんて、やる気があれば誰でも使えるのですが、なぜか”実務経験”が重視されがちです。実務経験がなければ、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)などの資格を取得していれば安心です。

 

やりたい(得意な)仕事・合わないと思った(不得意な)仕事はあるか

頻出度:★★★★☆
重要度:★★★☆☆

障害者の採用は「オープンポジション(職種を限定しない求人)」が多いので、比例してこの質問も多くなります。適性を見て配属先を検討しようということですね。

しかし、障害者採用は専門スキル重視ではないので、あくまで「あなたの個性(性格)に合う・合わない」です。

やりたい仕事については、これまでの経験から「どういうときにやりがいを感じたか」を伝えて、自分のモチベーションにつながるような仕事がしたいと言っておけばOKでしょう。

上手く自己分析ができていない、言葉に出せるほど明確になっていないというあなたは、事前に自己分析ツールを使って言語化しておきましょう。

リクナビNEXTのグッドポイント診断は、無料とは思えない本格的なクオリティなのでおすすめです。

登録から自己診断のやり方、どういった診断なのかなど、下記の記事中で紹介しています。

また、「合わないと思った仕事」については、「これまで自分に合わないと思った仕事はありませんが、障害の特性上、〇〇などは難しいと考えています」など、障害特性を交えて話すようにしています。

 

(上司や同僚から)あなたはどのような人だと言われることが多いか

頻出度:★★★☆☆
重要度:★★☆☆☆

「あなたの人柄」を知るための質問ですが、「あなたはどんな人ですか」と聞かれるよりも、「どんな人だと言われるか」と聞かれたほうが本心が出やすいので、この聞き方をされることが多いです。

別に本当のところを素直に話す必要はありません。自分のアピールにつなげられそうなエピソードと絡めて話しましょう。「よく○○と言われることが多いです」と答えると、100%その理由を深堀してきますので。

 

まとめ

これだけの質問に対する準備をしておけば、障害者の採用面接における頻出質問は網羅できるはずです。これで自信と余裕を持って面接に臨んで大丈夫です。

しかし、これらの質問への「模範解答」を私が提示することはできません。なぜなら、一人ひとりの障害や個性、能力によって、アピールすべきポイントが異なるからです。

また、応募する企業によっても「どのような回答を好む傾向があるのか」が異なります。その企業が重視している質問や、ならではの独自の質問もあります。

これらの懸念点を手っ取り早く解消するには、転職エージェントを利用すると良いでしょう。転職エージェントは「その企業がどのような質問をするのか」「どのような人材を求めているのか」を把握しているからです。

しかし、転職エージェントであればどこを利用しても同じという訳ではありません。「応募者が求める正確な情報」を取ってこれるエージェントばかりではないからです。

おすすめの転職エージェントについての記事はこちらから

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