精神保健福祉士

精神保健福祉士(通信専門学校)S評価レポート全文掲載④【精神障害者の生活支援システム】

聴覚障害+発達障害者、元人事マンのむじなです。

精神保健福祉士の通信制専門学校の課題として作成したレポートのうち、S評価(90点以上)のものを公開していくコーナー第4弾です。

最近は家にこもりっきりなので、精神保健福祉士の資格取得に向け、またキャリコンのスキルアップのために黙々と勉強を進めております。

第1回目のものはこちら(このコーナーの趣旨等もこちらに記載しております)

 

それでは、以下レポート本文(全文)です。

 

当事者主体を尊重した精神障害者の生活支援(リカバリー)の新たな具体例(ピアサポート、元気回復行動プラン=WRAP、個別就労援助=IPS)を上げそれらの意義および要点について簡潔に述べなさい。(1500字程度)

1980年代からアメリカを中心に広がりはじめた「リカバリー」は、精神科リハビリテーションにおいて主流の概念となっており、精神保健福祉士としてリカバリーの概念、およびリカバリーを基盤とするプログラムについて理解を深めることは必須であると考える。

本稿では、リカバリーを基盤とするピアサポート、元気回復行動プラン(WRAP)、個別就労援助(IPS)について、これらの意義と要点について述べる。

 

1.ピアサポート

ピアサポートとは、「同じ経験をもつ者同士の支え合い」である。精神科リハビリテーションにおいては、精神疾患、精神障害の経験がある者同士による、対等で相互的な支援である。

専門職スタッフが教育や訓練によって得た専門性によって支援を行うのに対し、ピアサポーターは自らの経験によって支援を行う。

「ありのままを分かってもらえる、受け入れてもらえる」「他社への支援を自分に活かせる」「つながりを得る」など、ピアサポートの持つ意義は多くあるが、「支援者としてサービスを提供するピアサポート」の最大の役割は、リカバリーのロールモデルを示すこと、自身のリカバリーを信じられるようになることだと筆者は考える。

「人は誰もがリカバリーできる」ということを、一番説得力をもって語れるのは、やはり同じ経験をもつピアサポーターだろう(「I’m the evidence」)。

 

2. 元気回復行動プラン(WRAP)

WRAP(Wellness Recovery Action Plan)は、メアリー・エレン・コープランドによって考案され、1997年、アメリカバーモント州で行われたリカバリースキルセミナーの参加者たちによって作られた「セルフモニタリングプラン」である。

WRAPは『「日常生活管理プラン」「引き金になる出来事に対処するプラン」「注意サインに対処するプラン」「調子が悪くなってきているときのプラン」「クライシスプラン(緊急状況への対応)」「緊急状況を脱した時のプラン」の6つのプランから成り立つ』(注1)。

WRAPはIllness(疾患)ではなくWellness(元気)に焦点を当てていることが最大の特徴である。「元気の道具箱」を作り、元気でいるために必要なこと・やりたいこと、元気になるためにできることをまとめ実践することは、自己管理のスキルアップという側面だけでなく、『対処可能であるという自分への信頼』(注2)がリカバリーにつながっている。

 

3. 個別就労援助(IPS)

IPS(Individual Placement and Support)は、精神障害者の就労支援のモデルであり、「リカバリーモデルに依拠している」「就労はリカバリーの要素である」「希望する者はすべて対象となる」「できることに着目する」など従来の就労支援モデルとは異なる特徴を持つ。

IPSには7つの基本原則があり、原則を守るほど一般就労率が高くなるとされている。

  1. 誰もが利用可能であること
    「働きたい」という意思がある者はすべて「働く準備ができている」と捉える。
  2. 他領域のサービスとの統合
    治療や生活支援など他領域のサービスと密接な連携をとる。
  3. 一般就労をめざす
    訓練や福祉的就労を経ることなく、一般就労をめざす(ことができる)。
  4. 年金や生活保護受給に関する個別相談
    仕事に就くことによる年金や生活保護受給への心配に対応する
  5. 迅速な職探し
    支援を受け始めてから1か月以内に仕事探しを始めることで、モチベーションを高める。
  6. 就労後の継続支援
    就労継続や、必要に応じて転職支援など継続的に支援を提供する
  7. 利用者の好みと選択の尊重
    利用者の好みと選択を尊重することで、仕事満足度が高まり、在職期間も長期化する。

特に、「どれだけ重い障害があっても、「働きたい」という思いさえあれば働ける」という視点が、IPS最大の特徴であると思料する。

 

【引用文献】

  1.  心と社会No.139「WRAP(元気回復行動プラン)―RecoveryとWellnessに焦点をあてて―」坂本明子 日本精神衛生会 2010 P.45
  2.  心と社会No.139「WRAP(元気回復行動プラン)―RecoveryとWellnessに焦点をあてて―」坂本明子 日本精神衛生会 2010 P.48

【参考文献】

  •  日本精神科病院協会雑誌Vol.36 No.10「特集 ピアサポーターの現状と今後」 日本精神科病院協会 2017
  •  「リカバリー 希望をもたらすエンパワメントモデル」 カタナ・ブラウン編 坂本明子監訳 金剛出版 2012
  •  心と社会No.139「WRAP(元気回復行動プラン)―RecoveryとWellnessに焦点をあてて―」坂本明子 日本精神衛生会 2010
  •  「IPS入門」 伊藤順一郎・香田真希子監修 地域精神保健福祉機構 2010

 

添削評価・講評

  • 課題の理解度:S
  • 論旨と構成:S
  • 自己の見解:S
  • 総合評価:S(95点)

講評:

要点は的確に良くとらえられています。今後のますますにご活躍に期待しています。

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