聴覚障害+発達障害者、元人事マンのむじなです。
先日ツイッターでこんなつぶやきを目にしました。
「発達障害者にとって、
- 臨機応変が求められるフロントオフィス(顧客対応)の業務は難しい
- かといって、(一般企業の)バックオフィス(管理部門)の業務は、暗黙の了解が読めないためこれまた難しい
- よって、バックオフィス業務がメインで、かつ配慮がある特例子会社で働くのが発達障害者に合っているのでは?」
確かに、特例子会社での働き方は、一般企業の障害者枠で働くよりも配慮があることは(確率的には)間違いありません。
しかし、特例子会社で働いた経験があり、かつ首都圏の特例子会社と広く交流を持っていた私から見ると、そう単純にはいかないこともまた明らかです。
今回は、「発達障害者と特例子会社」という視点でお話ししたいと思います。
※あくまで私が深く知っているのが数年前で、かつ交流のあった会社の範囲でのお話です。
※特例子会社のメリット・デメリットについては下記でまとめています。
合わせて読みたい
見えて、話せて、歩ける。発達障害者は特例子会社の「スター選手」
特例子会社は、障害者雇用を推進するための企業なので、当然ながら社員のほとんどが障害者です。
かつ、一部の例外を除き、そのうちの大半を身体障害者または知的障害者が占めています。
特例子会社の初回認定時点での障害者の人員構成:「主に身体障害者:29.4%」「主に知的障害者:54.5%」で計83.9%
出典:野村総合研究所「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査(2018.12)」
精神障害者・発達障害者の採用も増えてきてはいますが、それでも「見えて、話せて、歩ける」という発達障害者は特例子会社において、それだけで物理的にはハイスペックのスター選手というわけです。
加えて。
「特例子会社で働く=自分に合った仕事をずっと続けられる」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤りです。
企業である以上、業務の変更や異動もあります。
そして、身体障害者は物理的にどうしても動きがとりづらいことが多いため、「スター選手」である発達障害者は、色んなところに顔を出すポジション(負荷が大きい)につきやすく(つけたく)なります。
「できない」ならどうしようもないのですが、発達障害者の場合「頑張ればできる」ことが多いので、「頑張っちゃう」わけです。
そうすると、無理のない働き方がしたくて特例子会社に入ったのに、どんどん「無理しないとできない仕事が増えてくる」という現象が起こります。
会社員である以上、求められるレベルが高くなってくることはある程度しょうがないんですが、やはりしんどい。
特例子会社にも「利益」が求められるようになってきた。特例子会社での働き方が変わる
私が在籍していたのは、(当時)設立から10年ほどの特例子会社だったのですが、親会社から「利益を出せるよう体質改善していくこと」という要請がありました。それに伴う組織改編も行われました。
他の特例子会社にしても、親会社・グループ会社「以外」からの業務受注、職域拡大というのは課題感を持っているようでした。もちろんグループの方針にもよります。
しかし、例え「積極的な利益追求」が求められないにしても、より多くの障害者を雇用するためには受注量を拡大し、新規事業を開拓していかなければなりません。
つまり、これまでの特例子会社のイメージである「親会社から指示された業務を淡々とこなす」というだけでは済まないし、新しい仕事もやっていかなければいけません。
その中で、やはりスター選手である発達障害者にも相応の働き方が求められるでしょう。
会社によって落差が激しいのだとは思いますが、個人的には「(業務の難易度としても精神的な負荷としても)特例子会社の仕事は楽」というのは誤りだと思っています。
特に、デキル人には仕事が集まります。
安易な気持ちで志望するのはオススメしません。事前にしっかり情報収集しておきましょう(といっても、先に挙げた組織改編のように情勢が変わることは覚悟しておくこと)。
企業の内情を知るなら、やはり転職エージェントを利用すること。特に、一般企業と比較検討しながら志望先を選びたいなら絶対登録しておきましょう。
合わせて読みたい
あと、基本的に私はハローワークがあんまり好きではない(信用していない)のですが、特例子会社は特にハローワークとの結びつきが強いため、志望する特例子会社の管轄地域にあるハローワークで話を聞いてみるのはアリだと思います。
ハローワークのミニ面接会で募集をかけていることも結構ありますしね。