障害者雇用・転職

障害者が職場との相性を確かめる方法|職場実習・トライアル雇用・紹介予定派遣の違い

求人票や面接だけでは、実際の仕事内容や職場の雰囲気、自分に必要な配慮を受けながら働けるかまで、判断しきれないことがあります。

就職後のミスマッチを減らす方法として、職場実習、障害者トライアル雇用、紹介予定派遣などがあります。ただし、これらはすべて同じ「お試し制度」ではありません。雇用契約の有無、賃金の扱い、終了後に目指す働き方が異なります。

この記事では、それぞれの違いと、利用する前に確認しておきたいことを整理します。

まず知っておきたい3つの違い

  • 職場実習など:雇用契約を結ぶ前に、仕事内容や職場環境を体験する方法
  • 障害者トライアル雇用:雇用契約を結んで一定期間働き、継続雇用を目指す方法
  • 紹介予定派遣:派遣元と雇用契約を結んで派遣先で働き、その後の直接雇用を検討する方法

どの方法でも、実習や就業が終われば必ずその職場に採用されるわけではありません。「何を確かめたいのか」と「終了後にどう働きたいのか」を先に考えておくことが大切です。

雇用契約を結ぶ前に職場を知る:職場実習

職場実習は、企業で実際の業務や職場環境に触れる方法です。仕事内容だけでなく、通勤の負担、職場の音や人の多さ、指示の受け方、困ったときの相談のしやすさなども確かめられます。

職場実習は雇用ではなく、実習後に採用を希望する場合は、別途選考が必要になることがあります。実施する機関や地域によって、期間や参加方法も異なります。ハローワークや利用中の就労支援機関に、利用できる実習があるか相談してみましょう。ハローワークの職場実習案内

「実習」という名前だけで、賃金や交通費、実習中の事故に備える保険の扱いまで同じとは判断できません。参加前に、実習の目的とあわせて確認しておくと安心です。

職場適応訓練という方法もある

職場適応訓練は、実際の職場で作業を行い、その環境に慣れるための訓練です。訓練後に、その事業所で雇用されることを見込んで実施されますが、雇用が保証されるものではありません。

利用できるかどうかや訓練中の給付は、本人の状況などによって異なります。手当の額を一律に考えず、ハローワークで個別に確認してください。厚生労働省:職場適応訓練費

雇用契約を結んで働く:障害者トライアル雇用

障害者トライアル雇用は、企業と雇用契約を結んで一定期間働き、本人と企業が仕事内容や必要な配慮を確認しながら、継続雇用を目指す仕組みです。雇用契約に基づいて働くため、実習とは異なり賃金が支払われます。

期間は原則3か月です。精神障害のある方などは、より長い期間が設定される場合もあります。ただし、期間終了後の継続雇用が約束されているわけではありません。厚生労働省:障害者トライアル雇用

対象となるには、本人がトライアル雇用を希望することに加え、未経験の職業を希望する、一定期間に離職・転職を繰り返している、重度身体障害・重度知的障害・精神障害があるなど、定められた要件の確認が必要です。「離職中の人しか応募できない」とは一律に言えません。紹介はハローワークのほか、対象となる民間の職業紹介事業者等から受けられる場合もあります。

なお、制度の説明に出てくる助成金は事業主に対するものです。自分が受け取る賃金とは別に考えましょう。

短い時間から始める「障害者短時間トライアル雇用」

精神障害や発達障害があり、最初から週20時間以上働くことが難しい場合には、障害者短時間トライアル雇用という方法もあります。

雇入れ時は週10時間以上20時間未満から始め、職場への慣れや体調に応じて、期間中に週20時間以上の就労を目指す仕組みです。期間は3か月から12か月です。「ずっと週20時間未満で働くための制度」とは目的が異なるため、自分の希望する働き方と合うか確認しましょう。厚生労働省:障害者短時間トライアル雇用

派遣先で働いてから直接雇用を検討する:紹介予定派遣

紹介予定派遣は、派遣元と雇用契約を結び、派遣先で働いた後、派遣先での直接雇用を検討する働き方です。派遣期間は最長6か月で、その間に本人と派遣先の双方が仕事や職場との相性を確かめられます。厚生労働省:紹介予定派遣について

ただし、派遣期間の終了後に必ず直接雇用されるわけではありません。また、「直接雇用」は「正社員として採用」と同じ意味ではありません。応募時には、直接雇用に進んだ場合の雇用形態や労働条件まで確認しておきたいところです。

通常の派遣は、紹介予定派遣とは異なり、派遣先での直接雇用を前提とする仕組みではありません。派遣会社が紹介する仕事でも、通常の派遣、紹介予定派遣、派遣会社と契約して別の現場で働く仕事など、雇用形態はさまざまです。「派遣先で働けるから、いずれ直接雇用される」とは考えず、求人ごとの契約内容を確認しましょう。

職業訓練は「その会社を試すこと」とは目的が違う

障害者向けの委託訓練では、民間の訓練機関や企業などで、就職に必要な知識・技能を学べます。実際の職場で作業を経験するコースもありますが、主な目的は職業能力を身につけることです。訓練先への就職を約束するものではありません。厚生労働省:障害者訓練、群馬県の実施例

受講中に受けられる給付や自己負担も、本人の受給資格やコースによって異なります。「訓練だから必ず手当が出る」「委託訓練だから一切出ない」のどちらとも決めつけず、申込先に確認してください。

また、精神障害者向けの社会適応訓練など、地域独自の事業もあります。実施状況は全国一律ではありません。例えば、東京都の事業は2023年3月に終了していますが、大阪府では類似の社会生活適応訓練事業が実施されています。東京都の事業概要

実習や応募の前に確認したいこと

「働いてみれば分かる」と考えるだけでなく、始める前に次の点を確認しておくと、体験を判断材料にしやすくなります。

  • 何を体験するか:採用後に担当する予定の業務や職場を体験できるか
  • 契約とお金:雇用契約の相手、賃金・手当、交通費、保険はどうなるか
  • 必要な配慮:誰に何を伝え、現場では誰が調整するか
  • 困ったときの相談先:職場内と支援機関・派遣元のそれぞれに相談先があるか
  • 終了後の流れ:採用選考が必要か、継続雇用や直接雇用の条件は何か

例えば仕事内容が合っていても、通勤や職場環境による負担が大きい場合があります。反対に、最初は難しく感じても、業務の進め方や配慮を調整することで働きやすくなることもあります。できた・できなかっただけでなく、何が負担で、何を調整すれば働き続けられそうかを振り返ることが大切です。

まとめ:目的に合う方法を選ぶ

職場との相性を確かめる方法は、一つではありません。

雇用前に現場を知りたいなら職場実習、雇用契約を結んで継続雇用を目指したいなら障害者トライアル雇用、派遣先で働いたうえで直接雇用を検討したいなら紹介予定派遣が候補になります。必要な技能を身につけることが先なら、職業訓練も選択肢です。

どの方法も、就職や長期雇用を保証するものではありません。それでも、仕事内容や環境、必要な配慮を具体的に確かめる機会にはなります。自分の目的と各制度の違いを整理したうえで、利用できる方法を相談してみてください。

相談先を探す際は、障害者の就労支援機関を目的別にまとめた記事も参考にしてください。

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