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障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。
大企業VS中小企業(またはベンチャー企業)のどちらが良いか、という論争をしばしば目にします。
「福利厚生や安定では大企業の方が有利」「中小企業(ベンチャー企業)の方が裁量が大きく成長につながる」など様々な意見がありますが、特に障害者枠の採用であれば、やはり大企業が有利(メリットが多い)だと思います。
※あくまでも大企業と中小企業を比較して「こういう傾向がある」という話です。すべての企業にバッチリ当てはまるということはありません。念のため。
大企業のメリット1:社内に様々な業務が(しかも大量に)あるため、自分に合った仕事に就ける
大企業と中小企業の大きな違いは、(当たり前ですが)その規模にあります。社内の仕事の種類も量も、大企業の方が多いです。
障害者枠での採用をあなたが考えているならば、「何かしらの配慮を受けなければ仕事で力を発揮できない=出来る仕事の種類が(健常者と比べて)限られる」ということです。
であれば、多くの業務を抱えている分、大企業の方が「あなたに合った仕事」を用意できる=障害上困難な仕事を無理にする必要がないと言えるでしょう。
大企業のメリット2:障害者配慮のために使える資源(お金・設備)が充実している
中小企業が障害者を雇うとなると、どうしても「今ある環境(オフィス・設備・機材)で働ける人」を前提とした雇用になってしまう面は否めません。
もちろん、「そのぶん人(上司や同僚)が配慮してカバーする」という決意で障害者採用を進めている会社も多くあるかと思いますが、人材にしたって中小企業には余裕がないはずです。
勤務時間や勤務日数、仕事内容などの配慮で問題なく働けるという方は、中小企業でも良いと思います(これらの配慮がしっかり受けられるならば)。
しかし、働く上で、バリアフリー化や特別な機器・ソフトが必要な場合には、大企業の方が充実した(快適に長く安定して働ける)環境を整えてくれる傾向にあるでしょう。
大企業のメリット3:昇給制度が整っている、しっかり機能している
障害者枠の採用は、残念ながら年収が低めに設定されていることが多いです。
障害者専門の転職エージェントを利用して非公開求人を探せば「スキルに見合った高収入」な求人を見つけられることも多いですが、健常者より(配慮が必要な分?)低めの設定であることは確かです。
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求人票の年収で見比べてみて、「大企業も中小企業も年収に大差ない」ということも多いです。
しかし、これはあくまでも「入社時の年収」であって、その後の推移=今後どのように年収が上昇していくのかについての視点が抜けています。
やはり大企業の方が制度がしっかり整っていて、かつその制度が正しく運用されているという傾向があります。
5年後10年後を見据えるなら、昇給制度がしっかり整っている大企業の方が、トータルの年収は高くなるでしょう。
大企業のメリット4:理不尽な扱い(虐待)に合う可能性が低い
8月25日追記しました
先日、「平成29年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果が厚生労働省より発表されました。
その中身を見ると、使用者から(会社から)の虐待と認められた事例のうち、「従業員が1,000人以上の大企業」の割合はわずか0.3%でした。
障害者に対する虐待のうち、99.7%が従業員1,000人未満の中小企業で起こっているのです。
もちろんすべての中小企業でそのような非道が横行しているわけではありませんが、遭遇する確率は高まると考えておく方が良いです。
最後に
なんとなく「大企業の方が良いんだろうな」と思っていた方も、今回の記事で「具体的に何が良いのか?」がはっきりしたのではないでしょうか。
ただし、冒頭書いた通り、これはあくまでも「こういう傾向があるよ」という話で、「大企業に入ればあなたは楽しく働ける」と保証するものではありません。
規模で比較するのはもちろんですが、「自分はどんな会社なら長く働いていけるだろうか」「自分の理想の職場とは、どんな条件を満たしていれば良いのか」をしっかり考えておきましょう。
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