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障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。
私は基本的に、次の勤め先が決まってから退職するようにしていました。
なので雇用保険のありがたみが良く分かっていなかったのですが、一度(聴覚障害とは関係なく)体調を崩して次の当てもなく退職したことがあります。
その時は、障害者の雇用保険の手厚さにずいぶん助けられました。
正直私は、これだけ障害者の雇用保険が好条件なら、いざとなれば「次の勤め先が決まっていなくても退職に踏み切れる」と安心しました。
今回は、障害者なら知っておくべき雇用保険(失業保険)についてお伝えします。せっかくの障害者に有利な制度ですので、遠慮せず賢く使いましょう。
雇用保険(失業保険)の概要
雇用保険には、労働者が失業した際に、次の仕事を見つけるまでの間、生活保障として失業給付(お金)を受け取れる制度があります。
ここでは細かな説明は省きますが、「支給金額」は失業前の賃金に、「支給期間」は年齢と雇用保険に加入していた期間により決定されます。
受給するためには、「就職する意思があること」「実際に就職活動を行っていること」が必要になります。
この記事では障害者に特化した内容を掲載しますので、雇用保険自体の詳細についてはハローワークのHPで→ハローワークインターネットサービス
障害者は「就職困難者」として、好条件で雇用保険が受け取れる
雇用保険の制度は、障害者に有利な仕組みとなっています。
雇用保険では、身体障害者・知的障害者・精神障害者は「就職困難者」として扱われるため、通常よりも長い期間給付を受け取ることが出来ます。
雇用保険所定給付日数
雇用保険被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
健常者(全年齢) | なし | 90日 | 120日 | 150日 | |
障害者(45歳未満) | 150日 | 300日 | |||
障害者(45歳以上) | 360日 |
健常者であれば、就職後1年未満で退職(失業)した場合、全くもらえない給付を、障害者であれば5か月間(150日)も受け取ることが出来るのです。
これが就職1年以上での退職(失業)であれば、少なくとも300日とほぼ1年間の雇用保険が給付されるのです。
300日も雇用保険がもらえるのであれば、仮に失業しても安心して就職活動(転職活動)に取り組めるでしょう。
さらに、雇用保険には再就職手当という制度があり、給付を受け取れる期間を一定以上を残して就職した場合、受け取るはずだった給付のうち一定割合を手当として一括で受け取れるのです。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合:支給残日数×70%×基本手当日額
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合:支給残日数×60%×基本手当日額
例:就職後1年以上勤めて退職。基本手当日額5,000円。再就職までに60日分の雇用保険を受給した場合→(300-60)日×0.7×5,000円=120万円
ちなみに、私もこの再就職手当を受け取りました。私はぎりぎり3分の2以上の日数を残して再就職できたため、後日ありがたいボーナスとして70万円ほど頂きました。
さて、これほど恵まれた障害者の雇用保険事情ですが、一点だけ注意が必要です。
健常者・障害者にかかわりなく、自己都合で退職した場合は「給付制限期間」というものがあり、退職して3か月間は雇用保険が給付されません。
すぐに転職・再就職できる当てがない場合は、最低でも3か月間の生活費の蓄えが必要です。
逆に、3ヶ月分の蓄えさえあれば、後は長期間の雇用保険が受給できるので、無理に在職中に転職先を探さずとも、安心してゆっくりと就職活動に打ち込めるということです。
おまけ 自己都合退職でもすぐに雇用保険を受け取る方法
自己都合退職の場合、3か月間は雇用保険が受け取れませんが、例外はあります。
なお、全員がこの方法を使えるわけではありませんので、あらかじめご了承ください。私は運よくこのケースに当てはまりましたので、退職してすぐに雇用保険が受け取れました。
その方法は、特定理由離職者に認定されることです。
特定理由離職者に当てはまるケースはハローワークのHPで→特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
ハローワークのHPではいまいち分かり辛いので、私のケースを参考までにメモしておきます。
- 雇用保険被保険者期間が1年以上
- 体調を崩して一時休職(医師の診断あり)
- 体調は回復したが、同じ職場に戻っても再度悪化する危険があると考え、そのまま退職
この場合、「体調不良により自己都合退職」しており、かつ「退職後、すぐに就職活動を行える状態にあった」ということがポイントです。
「体調不良による退職」ということが認められれば特定理由離職者に該当しますが、雇用保険を受給するためには、「就職活動に取り組む」という要件を満たす必要がありますからね。
医師の診断やいろいろ資料提出は必要になりますが、同じような状況の方は、退職後すぐに雇用保険を受け取れる可能性があります。
まずはお近くのハローワークに問い合わせてみましょう。
まとめ 雇用保険をうまく活用し、就職・転職活動を有利に進めよう
障害者の雇用保険は条件が良いため、失業してもまだ挽回のチャンスは十分にあります。
ここまで雇用保険が手厚いのであれば、今あなたがブラック企業に勤めていて辛い場合、退職して雇用保険を受給しながらじっくりと転職先を探すのも大いにアリでしょう。
雇用保険を賢く使えば、就職・転職活動の選択肢の幅は広がりますよ。
なお、在職中にしろ退職後にしろ、就職・転職活動を行うのであれば転職エージェントを使うのは王道であり常識です。
無料かつデメリットのないサービスなので、こちらも賢く使いましょう。
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