障害者の就職・転職

障害者の雇用環境について徹底解説【就職・転職は今がチャンス】

2017年10月22日

目次

障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。

昨今の就職・転職市場は空前の売り手市場、多くの企業が人材確保に躍起になっています。

そして、特に障害者の就職・転職市場は、かつてないほどの追い風が吹いています。障害者が就職・転職するなら今しかない!

今回は、障害者を取り巻く雇用環境についてお伝えしたいと思います。

 

1.労働力の減少 障害者は貴重な戦力

これは障害者に限らずですが、日本は人口減少社会に突入し、特に15歳~64歳の生産年齢人口(働き手)の減少は深刻です。

総務省発表の人口推計(2016年10月1日現在)によると、生産年齢人口は、▲116万人(2013年→2014年)、▲56.8万人(2014年→2015年)、▲72万人(2015年→2016年)と年々減少しており、働き手の確保が急務です。

シニア世代や女性労働力の活用などが取りざたされていますが、それだけではとてもカバーしきれない状況です。

そこで、まだまだ雇用の伸びしろのある障害者雇用が注目を浴びています。

身体障害者111.1万人(18歳以上65歳未満)、知的障害者40.8万人(18歳以上65歳未満)、精神障害者202.3万人(20歳以上65歳未満)のうち、民間企業で働いている障害者はわずか38万6,606人(実数)であり、全体の11%程度です。

障害者雇用には配慮や環境整備が必要になりますが、それでも人手不足の企業にとって、障害者雇用は魅力的な市場なのです。

 

2.法定障害者雇用率の上昇

企業には障害者を雇用する義務があります。現状の法定雇用率は2.0%なので、従業員50人のうち1人は障害者を雇用しなければならないのです。

また、2018年には精神障害者の雇用が義務化され、法定障害者雇用率が2.2%に上昇します。さらに2020年度末までに2.3%まで上昇し、企業が雇用しなければいけない障害者の数は増え続けています。

 

3.改正障害者納付金制度による負担増

法定雇用率を満たしていない企業は、不足人数一人当たり月額5万円の納付金を納めなければなりません。

2009年までは従業員数301人以上の企業が納付金制度の対象でしたが、2010年に従業員数201人以上、2015年以降は従業員数101人以上が対象となり、範囲が広がっています。

これによって、これまで障害者雇用に積極的でなかった企業も、新たに障害者を雇用し始めています。

 

4.改正障害者雇用促進法による障害者差別の禁止

2016年4月に改正障害者雇用促進法が施行され、雇用分野での障害者差別の禁止合理的配慮の提供が義務付けられました。

「障害者差別禁止」については、障害があるというだけで「雇用しない」「給料が安い」「教育・研修を受けさせない」等の不当な取り扱いが禁止されました。

また、「合理的配慮の提供」については、「募集・採用時」から「採用後」においても、障害者がその能力を発揮できるよう企業が必要な措置を講じなければならないというものです。

<募集・採用時の合理的配慮の例>
◆視覚障害がある方に対し、点字や音声などで採用試験を行うこと
◆聴覚・言語障害がある方に対し、筆談などで面接を行うこと<採用後の合理的配慮の例>
◆肢体不自由がある方に対し、机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと
◆知的障害がある方に対し、図などを活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示は内容を明確にしてひとつずつ行ったりするなど作業手順を分かりやすく示すこと
◆精神障害がある方などに対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること
厚生労働省「雇用の分野で障害者に対する差別が禁止され、合理的な配慮の提供が義務となりました」

「障害者差別の禁止」と「合理的配慮の提供」についてはまだ完全に浸透しているとは言えない状況ですが、障害者の雇用環境は確実に良くなっています。

 

5.企業の社会的責任(CSR)や人材の多様性(ダイバーシティ)の浸透

企業は利益さえ出していれば良いという時代ではありません。採用においても取引においても、果ては株価にまでCSRやダイバーシティの取組みが影響を与えるようになりました。

こういった社会情勢により、「障害者を雇用する」ことは企業価値を高めるための重要な施策であると社会的に認識されるようになり、企業の意識が変わってきています。

誰もが使いやすい商品やサービス(ユニバーサルデザイン)を開発するために障害者を雇用するという、前向きな雇用も増えてきています。

 

まとめ.障害者が就職・転職するなら今がチャンス!

  1. 労働力の減少により、障害者が貴重な戦力として認知されてきている
  2. 法定障害者雇用率が上昇している
  3. 障害者納付金制度の対象が広がり、新たに障害者を雇う企業が増えている
  4. 「障害者差別禁止」と「合理的配慮の提供」義務により、雇用環境が改善している
  5. 障害者雇用に対する社会的価値が向上し、企業が力を入れ始めた

障害者の就職・転職市場はこれまでにない売り手市場であり、就労環境も改善しています。

就職・転職活動をする障害者にとってはこれまでにないチャンスといえるでしょう。

就職・転職活動が不安なあなたも、諦める必要はありません。今は障害者専門のエージェントの普及によって就職・転職活動のハードルはかなり低くなっています。

少しでも就職・転職活動を考えているあなたには、ぜひエージェントとの面談をおすすめします。あなたの就職・転職活動を手取り足取りサポートしてもらえます。無料なので気軽に使えますしね。

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