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聴覚障害+発達障害者、元人事マンのむじなです。
就職・転職において、特に障害者にとって一番大切なポイントは自分にマッチする会社を見つけること。
しかし、障害者向けの「会社を知るための情報」が少ないことはこれまでにブログで述べてきた通りです。
よって、「各社の内情を知っている障害者向け転職エージェントの利用」が一番お手軽かつ就職に結びつきやすいため、このブログでは各社の利用体験記など紹介していますし、自分で障害者向けの会社クチコミサービスを立ち上げたりしています。
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しかし究極、入ってみないと本当にマッチしているかどうかって分からないですよね。
よって、「もしダメだった時のための」早期離職時のダメージが少ない、契約社員からのキャリアスタート等をご紹介したりもしました。
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今回は、「入社したけどやっぱりダメだった」を予防するための、障害者のための「試しで働ける制度一覧」をご紹介したいと思います。
1.雇用契約を結ばない訓練や実習
「試しで働くための制度」としては、雇用契約を結ぶものと結ばないものがあります。
まずご紹介するのは「雇用契約を結ばない訓練や実習」です。訓練後に雇用される保証はありませんが、逆に言えば、「もしマッチしなかった時」にも職歴に傷がつかないというメリットがあります。
むしろ、空白期間ではなく「訓練期間」という扱いになるので、経歴のプラスにはなってもマイナスにはなりません。
1.職場適応訓練
身体障害者、知的障害者、精神障害者等の能力に適した作業(仕事)の訓練を企業で受けられる制度。
期間は6か月以内(重度障害者の場合は1年間以内)。
「訓練を受けるだけ」ではなく、基本的には訓練終了後の雇用を目指す制度です。
なお、訓練を受講した者は、訓練手当を受け取ることができます、無給ではありません。
居住地により変動しますが、およそ、基本手当(日額)3,500円~4,500円、受講手当(日額、年間40日上限)500円程度。また、受講のための通所手当(交通費)も支給されます。
※雇用受給資格者の場合は、雇用保険の基本手当が支給されます。
訓練受講にはハローワークの指示が必要なため、まずはハローワークで求職登録を行いましょう。
2.障害者委託訓練事業
こちらは上記の「職場適応訓練」とは異なり、「職業訓練」という色合いが強いですが、この委託訓練から就職につながることもあります。
訓練期間は原則3か月以内で、様々な訓練科目の中から自分が身に着けたいスキルを選んで受講することができます。
例:東京しごと財団(上半期 5月-7月開講予定 令和元年5月15日版)
- 事務作業に必要なPCスキルアップとMOS検定対策
- オフィス業務で必要なITスキル&コミュニケーション&ココロの基礎トレーニング
- 作業ラインの基本技能と工場内の清掃・整理作業の習得
- 事務補助業務・看護補助業務の習得 等
受講料はかかりませんが、訓練手当も交通費も支給されません。
この制度については、「まず身に着けたいスキルありき」で、その会社が自分にマッチするところだったら儲けものくらいに考えておいた方が良いかもしれません。
また、この制度の特徴としては、在職中であっても利用することができます。
こちらも、利用するにはまずはハローワークの求職登録が必要です。
3.精神障害者社会適応訓練事業
精神障害者向けの訓練制度です。
通常勤務が困難な方向けで、リハビリ的な勤務(訓練)を基本とします。
訓練期間は通常6か月、最長3年まで延長可能です。
受講料はかかりませんが、訓練手当は「なし」、あったとしても「少額」。地域により異なります。
※例えば、東京都では日額1,100円が手当として支給されますが、京都府では訓練手当はありません。
窓口は保健所になりますので、ご興味のある方はお近くの保健所にお問い合わせを。
2.雇用契約を結ぶ、試行的な雇用制度
ここからご紹介するのは、短期の有期雇用契約を結び、試行雇用終了後に常用雇用に移行することを目的とする制度です。
なお、これらのトライアル求人には離職中にしか応募できないことに注意しておきましょう(たとえ各制度の条件を満たしていたとしても不可)。
トライアル求人を探す際は、基本的にハローワークが窓口となるため、求職登録が必要になります。
1.障害者トライアル雇用
「障害者トライアル雇用」は、障害者を原則3か月間試行雇用することで、適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけとしていただくことを目的とした制度です(厚生労働省HPより引用)。
※精神障害者については、最長12か月トライアル雇用期間の設定が可能
次のいずれかの要件を満たし、「障害者トライアル雇用」を希望した人が対象となります。
- 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
- 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前日時点で、離職している期間が6か月を超えている
- 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
「トライアル」とはいえ実際に雇用契約を結んで働くことになりますので、当然「手当」などではなく「給与」が支給されます。
※トライアル求人の場合、書類選考なしで即面接選考になります
2.障害者短時間トライアル雇用
精神障害者や発達障害者で、週20時間以上の就業時間での勤務が難しい人を雇用する場合、週10~20時間の短時間の試行雇用から開始し、職場への適応状況や体調などに応じて、トライアル雇用期間中に20時間以上の就労を目指す「障害者短時間トライアル雇用」制度もあります(厚生労働省HPより引用)。
期間は3か月以上、12か月以内。
短時間の就労で、かつ雇用契約を結んで働くことができるため、通常の時間を勤務する前に、短時間から徐々に職場に慣れていきたいという方におすすめできる制度です。
まとめ
自分にマッチする会社かどうかを、実際に体験してから判断し、就職・転職できるという点で、これらの制度は利用メリットも大きいです。
一方、「お試し期間の後、本当に長期雇用する気があるのかどうか判断できない」というデメリットもあります。
こちらが会社を試しているように、会社側も応募者(利用者)を試すのは当然なのですが、「そもそも試行期間後に継続雇用する気がない」という会社も中にはあります(助成金目当て)。
いずれにせよ、「会社に試されている」のではなく、「会社を試している(マッチする会社を探す)」という視点を忘れないようにしなければいけません(お試しの意味がなくなってしまいます)。
◇
なお、「究極、入ってみないと分からない」と冒頭で言いましたが、実は面接だけでも、慣れてくれば結構な確率で「自分の雰囲気に合っている会社かどうか」は分かるようになります。
目を曇らせる要素※をいかに振り払うかがカギになります。
※「大企業だし」「せっかく最終面接まで来たし」……など
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