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障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。
私は聴覚障害者ですが、某大手企業の採用担当者として勤めています。
自分では当たり前のことになり過ぎて、あえてブログのネタとしては取り上げていませんでしたが、「どうやって面接しているんですか?」という質問をいただきました。
確かに、「聴覚障害者が面接する」と言われても、ピンとこない方が大多数ですよね。
今回は、採用担当者としての仕事と、私の聴覚障害について少しお話したいと思います。
聴覚障害者といっても様々。私は口話でコミュニケーションできます
「聴覚障害者がどうやって面接するのか?」
答えとしては、普通に面接しています。
聴覚障害者と一言にいっても様々で、手話通訳や筆記が必要な方もいれば、私のように口話(話し言葉)で通じる人もいます。もちろん、「健聴者」と同じように聞こえる訳ではありませんが。
私の場合、面接の際には最初に一言断りを入れるようにしています。
「私は耳に少し障害があるので、聞き返してしまうことがあるかと思います。すみませんが、ご了承ください。ただ、○○さんは普段通りに話していただいて大丈夫です。できれば、気持ちゆっくり目・はっきり目に話していただけると助かります。」と。
聴覚障害者が面接官を務めるとなると、「聞こえない」「聞き漏らすかも」というデメリットに目が行きがちですが、私はメリットもあると思っています。
メリット1.ゆっくり話すようお願いすることで、応募者も余裕をもって答えられる
一番のメリットはここでしょう。
面接の場では、応募者の方はどうしても焦りが出ます。即答できないような質問が出れば、なおさら焦って「すぐ答えなければ」と思ってしまいがち。
もちろんそのような場面で「いかに対応できるかを計る」という面接もあるのでしょうが、基本的には、焦らずその人の本音を引き出したいと思っています。
その時、「面接官が聴覚障害者」というのが活きるのです。
普通いくら面接官が「焦らなくてもいいですよ」と言っても、応募者の立場では焦ります。でも、面接官が聴覚障害者だと思えば、「ゆっくり答えなければ」「焦って話さなくても大丈夫」と意識する。
聴覚障害者の面接官は、応募者が落ち着いて、本音で話せる場を作りやすいと考えています。
メリット2.多様性を受け入れる土壌のある職場だとアピールできる
採用担当者、面接官は企業の顔です。
そんな面接官に障害者が選ばれているのだから、「この会社はいろんな人が活躍できるチャンスがあるんだな」と思ってもらえます。
特に障害者採用の場面では、「障害のある社員はどのように働いているのか?どのような業務で活躍しているのか?」ということを気にされる方が多いです。
その際、健常者の面接官が語るのと、障害当事者が「私のように、自分の仕事を任されて働いている障害者がたくさんいますよ」と実例を示すのでは、説得力が違います。
まとめ.障害者には、障害者なりの仕事の仕方があるものです
このように、一見採用担当者には向いていない聴覚障害者でも、見方を変えればメリットになりうることも沢山あります。
自分の障害によって生じるデメリットを認識しておく、そしてそれを最小限に抑えられる術を身に着けておく。これも大切です。
しかし逆に、自分の障害が「プラスに作用することは何か?」を考えておくことの方が重要です。これは、常に「自分の頭で」考えておかないと見つけることができません。
貴方も、自分の可能性を諦めて、視野が狭くなっていませんか?
どんな人にも、その人でしか生み出せない価値があると私は信じています。
あとは、意思を持って自分の能力を開花させようと努力できるか、気持ち次第です。