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聴覚障害+発達障害者、元人事マンのむじなです。
ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD由来の感覚過敏や鈍麻、身体症状は中核症状ではないものの、社会生活において時に重大な支障をきたします。
例えば、骨折しても気付かないほどの感覚鈍麻があるケースや、日常の何でもない(と思われている)音でも耐えられないほど不快に感じてしまうほど感覚過敏なケース……など。
私の場合、社会生活に致命的な影響は与えていないものの、発達障害由来の感覚過敏や身体症状は、日々生きているだけで激しく消耗させるものです。
最近は当事者による発信も活発で、ここの記事で挙げることは様々な当事者の方が既に発信されているものがほとんどだと思いますが、イチ当事者としての発達障害者にこのくらいの特性があるよというのをざっくり知っていただければと思います。
大学卒業後、健常者として一般企業に勤務。聴覚障害を受障してからは障害者枠(身体)で数社に勤め、主に人事(採用・研修等)に携わる。昨年発達障害(ASD・ADHD)と診断を受ける。現在はフリーランスのライター兼キャリアコンサルタント。
対人関係やコミュニケーション面でのしんどさは以下の過去記事をご参照ください。
合わせて読みたい
原因不明の腹痛(消化器系の不調)
ASDには消化器症状を併存する頻度が高いと言われていますが、私も常にお腹の調子が良くありません。
発酵食品や食物繊維を意識的に摂取する等のいわゆる腸活で改善した、という当事者の方もいらっしゃいますが、私の場合は効果がみられず(継続していますが)。
前触れなく我慢できないほどの腹痛が襲ってくるため、ストッパ常備しつつ、複数回トイレに寄ってもなお余裕が保てるように早めの行動を心がけています。
会社勤めの頃はほぼ毎日、通勤途中で電車を降りていました(通勤時間帯の駅のトイレがまた混むんですよね……)。
聴覚過敏・視覚過敏
聴覚障害があるのに聴覚過敏というのもなんだか変ですが、機械音(空調やプリンター、冷蔵庫など)の音が気になって集中できない(イライラする)ことがよくあります。「気になって」というレベルではない方も多いので、私は軽い方でしょうけど。
また、私の聴覚障害は「音の聞きづらさ」より「言葉の聞き分け」の方がひどいので、発達障害由来の影響もありそうです。
聴覚過敏については、対策として環境騒音だけを消してくれる「デジタル耳栓」や「ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン」など活用している方もいらっしゃいますね。
私もデジタル耳栓は愛用しています。
ただ、「環境騒音だけを消す」とは謳っていますが、実際は会話の聞こえにも多少なりとも影響が出ますので、もともと聴覚障害のある私では「会社で付けたまま働く」というような使い方はできませんでしたが……。
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視覚過敏については、蛍光灯やLED照明の光が眩しくて気分が悪くなることが多いです、オフィスワークでは地味に辛い。ブルーライトカットのメガネは(気持ち)負担が軽くなるので欠かせません。
「予期せぬ大きな音に苦痛を示す」「レストランなど人が多い場所をいやがる」「手が汚れるのを過度にいやがる」など、感覚調整障害(SMD)の「過剰反応」もばっちり当てはまっております。
不器用さ、姿勢(発達性協調運動障害)
身体能力自体は(たぶん)平均的ですが、絶望的に体の動かし方が悪い(運動音痴)。
おまけに上手く両目の視覚情報を統合できない(立体感や遠近感がつかめない。これも当事者からまま聞かれる症状)ので球技は特に苦手。同様に車の運転も怪しい(極力控えています)。
手先が不器用というわけではないですが、力加減が調整できない。
字が汚く、かつ筆圧が強すぎてすぐに疲れてしまうので、手書きで書類を作成するのはかなりの苦痛です。
そのうえ不注意による書き損じも多いので、修正不可の手書き履歴書は1枚完成させるために5枚は無駄にしていました(鉛筆で下書きしても下手すぎて上手くトレースできないため意味がない)。PC可の世の中になって本当にありがたいです。
身体は全身常に緊張状態で、かつ姿勢の悪さと不自然な体の使い方のせいで腰痛や肩こりがひどい。
偏食(大学入学頃まで)
大学入学頃までは、結構な偏食がありました。
とにかく野菜全般がダメで、家庭での食事では1年間かけてやっと1日分の必要量くらいの摂取量だったはずです。苦手というレベルではなく、口に入れたら反射的に吐き出してしまうほど。
偏食に関しては給食が難関ですが、幸い私の通っていた小学校は(当時にしては)寛容で量が調整できたので、何とかやり過ごすことができました。特に生野菜が全くダメだったのですが、給食では生野菜が出なかったのが幸いです。
中学以降は弁当持参でしたが、おかずは毎日同じメニュー。……今になって考えるとおかしいと気づけますが、当時は何とも思っていませんでした。
ちなみに何故か大学入学くらいから偏食(味覚の過敏)は嘘のようになくなりました。
アレルギー性疾患
発達障害由来、ということでもないのですが。
ADHD、ASDはアレルギー性疾患との関係性が高いと考えられているようです。ASDだと、発症率は喘息で1.69倍、アトピー性皮膚炎で1.66倍とのこと(出典:「内科一般外来における対応法 宮尾益和」診断と治療Vol.107-No.11 診断と治療社 2019年11月)。
私も目に見えて酷いようなものではありませんがアトピー性皮膚炎があり、ステロイド外用薬は手放せません。通年性のアレルギー性鼻炎・結膜炎もあり。
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睡眠困難(不眠)
なんらかの睡眠障害を併存している発達障害者は、ASDで53~78%、ADHDで25~50%に及ぶとのこと(出典:「学齢期の発達障害当事者の睡眠困難とその背景要因 柴田真緒 髙橋智」SNEジャーナル第25巻第1号2019年10月)。
私も入眠困難があり、現在は薬を使ってコントロールできていますが、以前は不眠のため生活リズムが無茶苦茶でした(二日続けて一睡もできないまま出社したり)。
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おわりに
なんだかまだまだありそうな気はしますが、パッと思いついたのはこの辺りでしょうか。
「この程度で辛いと言ってんのかっ」というレベルで感覚過敏・鈍麻、身体症状に苦しんでいる当事者の方もいらっしゃるとは思いますが、おそらく軽微な特性の私でもこのくらいの症状があるとご理解いただければ。
日常生活も含めたこれらのダメージは、就労の継続という点でも悪影響を及ぼしますので、まずはこれらの症状にいかに折り合いをつけていくか、どの程度職場で配慮してもらえるか、というのも発達障害者の就労には重要です。