発達障害

【WAIS-Ⅲ編】発達障害の検査結果を公開します

目次

障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。

2018年1月、発達障害と診断され、元々の身体障害(聴覚障害)に加え、発達障害の当事者となりました。

発達障害の診断の過程で、「WAIS-Ⅲ」「CAARS」「AQ日本語版」「ロールシャッハテスト」の4つの検査を受けましたが、今回はWAIS-Ⅲの検査結果を公開したいと思います。

「自分は発達障害なのでは?」と感じている方、生き辛さを感じている方の参考になれば幸いです。

私が発達障害と診断されるまでの過程は、下記の記事で公開しています。

 

WAIS-Ⅲとは

WAIS-Ⅲ(ウェクスラー成人知能検査第3版)は、16~89歳までの知能を測定する個別式の検査です(≠集団式検査)。

14個の基本検査があり、それらの結果を量的・質的に評価することで、全般的な知的発達水準や知的能力のバランス(個人内差)などの情報を得ることができます。

3種類のIQ【全検査IQ(FIQ)、言語性IQ(VIQ)、動作性IQ(PIQ)】の他に、特定の認知領域の機能を表すために、さらに4種類の群指数【言語理解(VC)、知覚統合(PO)、作動記憶(WM)、処理速度(PS)】と下位検査評価点が算出されます。

群指数は同年代との比較によって算出し、100を平均として80~119におよそ全体の2/3が含まれます。

表1:各群指数で測定される主な能力

言語理解(VC) 言語形成概念、物事の多面的な視点、表現力の豊かさ、言語で推理する能力、学校や日常生活など環境から得た知識の習得度合い(基本的な単語力、社会的なルールの理解などが含まれる)。
知覚統合(PO) 流動性知能(新しいことや環境に適応する能力。新しい情報をもとに計算したり、空欄補充をするなど、情報処理をすばやく行う側面も持つ)、目で見た状況を判断する能力、物事の意図の読み取り能力、空間処理、視覚(目)と手の運動の連動など。
作動記憶(WM) 聴覚情報を一時的に記憶し、その情報を頭の中だけで操作する(並び替えや暗算など)。聴覚情報の統合性、注意集中の持続など。
処理速度(PS) 単純な視覚情報を素早く正確に読み取り、処理していく能力。視覚的短期記憶能力や視覚(目)と手の運動とも関係する。

表2:群指数の分類

合成得点 分類 理論上の割合(%)
130以上 特に高い 2.2
120-129 高い 6.7
110-119 平均の上 16.1
90-109 平均 50
80-89 平均の下 16.1
70-79 境界線 6.7
69以下 特に低い 2.2

表3:IQの算出にかかわる下位検査日本文化科学社より引用)

言語性IQ(VIQ) 動作性IQ(PIQ)
単語 絵画完成
類似 符号
算数 積木模様
数唱 行列推理
知識 絵画配列
理解 記号探し
語音整列 組合せ

表4:群指数の算出にかかわる下位検査日本文化科学社より引用)

言語理解(VC) 知覚統合(PO) 作動記憶(WM) 処理速度(PS)
単語 絵画完成 算数 符号
類語 積木模様 数唱 記号探し
知識 行列推理 語音整列

 

WAIS-Ⅲの流れ・検査にかかる時間・費用

検査は個室で、臨床心理士の方と一対一で行います。

上述の14の下位検査をひとつずつ実施していきます。途中で一度休憩あり。

詳しい検査の情報を受検者が事前に知ってしまうと正しい結果が得られないということなので、ここでは書きません。詳しく知りたいところだとは思いますが、ご了承ください。

検査に要した時間は2時間弱ほど、検査費用は、診察込みで1,850円でした(保険適用)

 

筆者(むじな)のWAIS-Ⅲの結果

IQ/群指数 パーセンタイル順位 90%信頼区分 記述的分類
言語性IQ(VIQ) 100 50 95-105 平均-平均
動作性IQ(PIQ) 99 47 93-105 平均-平均
全検査IQ(FIQ) 100 50 96-104 平均-平均
言語理解(VC) 105 63 99-110 平均-平均の上
知覚統合(PO) 99 47 92-106 平均-平均
作動記憶(WM) 94 34 88-101 平均の下-平均
処理速度(PS) 92 30 86-99 平均の下-平均

*WAIS-Ⅲは16~89歳までを対象にした能力検査です。得意なもの苦手なものの傾向を見ていきます。

*IQは平均を100、標準偏差を15となるように標準化された値です。

*パーセンタイル順位とは、ある得点の下に何%の人が位置するのかを占める数値で、同年齢集団におけるその人の位置を表しています。例えば、パーセンタイル順位が20の場合は、同年齢集団の中にはその人よりも得点の高い人が80%程存在することを表しています。

*信頼区間は、統計処理上の誤差を含む得点の範囲を表しています。

*記述的分類は、信頼区間に基づいた分類です。いわゆる「平均」とはIQが80-119の範囲を示し、統計上は約8割の人が「平均」に含まれることになります。

 

●言語性IQ【言語理解】+【作動記憶】

語彙力、知識は十分に身についています。状況や自分の考えを言葉でわかりやすく説明することもできており、常識を踏まえた考え方など、言葉をコントロールする力があると言えます。

記憶力も同年齢比較で平均域です。注意・集中力を保つことができ、一度に覚える量が増えても対応する力があります。

●動作性IQ【知覚統合】+【処理速度】

物事の法則性を見つけること、関係性を推測することなど、頭の中で様々な策を練って考えるやり方は得意なようです。

一方で、物の形や位置などを把握する力、空間認知力は弱いところがあるようです。日常生活では物を失くしやすい、片付けが苦手など物の位置を覚えることに影響しやすいかもしれません。

 

WAIS-Ⅲの結果についての補足説明

発達障害は発達の凸凹と表現されることもあるように、基本的には各IQや各群指数の個人内差が大きいほど発達障害の傾向が強いと言われています。

私の場合、言語性IQが100、動作性IQが99とその差は1、群指数でみても、言語理解の105と処理速度の92でその差は13

医師によると、WAIS-Ⅲの結果だけ見れば、「まぁちょっと凸凹はあるかな」という程度らしいです。

私の場合は、面談結果や他の検査結果を踏まえて診断されたようです(まぁ、この検査結果のみをもって診断することもないんだとは思いますが)。

感想

全部平均の範囲内という、まぁつまらない結果ですね。ちょっとがっかり。

ロールシャッハテストの結果と違い、正直あんまり納得感はないですね。

「状況や自分の考えを言葉でわかりやすく説明することもできており」→できる能力自体は確かにあるのだと思う。しかし、自分の考えを言い出すのはすごく苦手だし、できない。そもそも自分の意見を主張したいタイミングもない。

「注意・集中力を保つことができ、一度に覚える量が増えても対応する力があります」→些細なことでもすぐに注意集中が乱れるし、三歩歩くと忘れる鳥頭です…。

「日常生活では物を失くしやすい、片付けが苦手など物の位置を覚えることに影響しやすいかもしれません」→これはその通り…。

まぁ、心理検査の結果と実際の生活(仕事も含め)で支障ないかどうかは、相関はあってもイコールではない、という感じでしょうか。

発達障害の診断までの過程については、こちらをご覧ください。

 

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