「障害者雇用の面接では、最後に何を質問すればよいのだろう」
「必要な配慮や働き方について、どう聞けば具体的なことが分かるのだろう」
面接の終盤に「何か質問はありますか」と聞かれることがあります。この逆質問は、仕事内容や必要な配慮を確認し、自分が働き続けられる職場かを考える機会です。
私は聴覚障害と発達障害があり、応募者として面接を受ける一方、企業で障害者採用にも携わってきました。その経験から、質問への答えに加えて、分からないことや困りごとをどう話し合えるかも、仕事選びの判断材料になると考えています。
この記事では、目的別の逆質問20例と、質問の選び方、面接官の回答・対応から確認したいポイントを紹介します。例文は、自分の経験や必要な配慮、面接中に聞いた説明に合わせて言い換えてください。
逆質問では、入社判断に必要な情報を確認する
質問を考えるときは、まず「何が分かれば、この会社で働けるかを判断できるか」を整理します。
確認したいのは、大きく次の三つです。
- 仕事内容:担当業務、仕事量、指示の受け方、期待される役割
- 配慮と支援:必要な対応、相談先、配属先での実施方法
- 職場との相性:仕事の進め方、上司との関わり方、評価やキャリア
たとえば、求人票に「事務業務」と書かれていても、電話対応が中心なのか、データの確認が中心なのかでは、必要な経験も配慮も変わります。
「配慮があります」「相談できます」という説明についても、実際に誰が、どのような方法で対応するのかまで確認すると、入社後の働き方を想像しやすくなります。
質問は、聞いた説明と自分の状況につなげる
逆質問は、求人票や面接で聞いた内容を踏まえて、知りたい点を一つに絞ると伝わりやすくなります。
先ほど、月次集計を担当すると伺いました。前職でも集計業務を経験しています。入社当初は、どの範囲から担当する予定でしょうか。
自分の経験や質問する理由を短く添えると、相手も答える範囲を理解しやすくなります。ただし、すべての質問に自己PRを付ける必要はありません。
事前に用意した質問が面接中に解消したら、その質問は外して構いません。説明を聞いて新しく気になったことを尋ねてもよいでしょう。
準備する数は、たとえば五つ程度を用意し、残り時間に応じて二つ、三つを選ぶ方法があります。これは準備の一例で、必要な質問数が決まっているわけではありません。時間が短ければ、入社判断に関わる質問を優先してください。
障害者雇用の面接で使える逆質問20選
仕事内容と期待される役割を確認する
1.一日の仕事の流れ
配属後に担当する業務について、一日の流れと、定期的に発生する仕事を教えていただけますか。
業務の順序や種類、予定変更の有無を確認する質問です。回答を聞いて、電話・来客対応など、詳しく確認したい仕事があれば続けて尋ねます。
2.入社当初に期待されること
入社後は、どのような業務から担当し、最初の一〜三か月でどの程度まで習得することを期待されていますか。
研修や引き継ぎの内容、最初から求められる水準を確認できます。中途採用の場合も、経験がある仕事と、新しく覚える仕事を分けて考えましょう。
3.仕事の評価基準
この職種では、正確さ、処理件数、周囲との連携など、特にどの点を重視して評価されますか。
「どんな人が活躍していますか」という質問を、応募する仕事に即して具体化した例です。期待される働き方が、自分の経験や強みと合うかを考えられます。
4.入社前に準備できること
業務を習得するために、入社前に確認しておく知識や、練習しておく操作はありますか。
実際に必要な知識や操作を確認します。社内でしか学べない内容もあるため、事前準備だけでどこまで対応できるかも分けて考えます。
5.これまでの経験を活かせる場面
これまで〇〇の業務を経験してきました。配属予定の部署では、この経験を活かせる場面はありますか。
自分の経験と担当業務の接点を確認する質問です。経験がない場合は、学習や訓練で取り組んだことに置き換えられます。
指示方法と相談体制を確認する
6.仕事の指示を出す人
日常の業務指示や優先順位の確認は、主にどなたと行うことになりますか。
複数の人から依頼があるのか、調整する窓口が決まっているのかを確認できます。
7.指示を受ける方法
業務の指示は、口頭、メール、チャット、手順書など、どの方法が中心でしょうか。
文字で確認したい場合は、その必要性も伝えます。
口頭だけでは指示の内容を取り違えることがあります。重要な指示を、メールやチャットでも確認できる運用は可能でしょうか。
8.急な依頼や予定変更の共有方法
急な依頼や優先順位の変更がある場合、チーム内ではどのように共有されていますか。
変更がどのくらいあるかに加えて、誰が優先順位を決め、どう伝えるのかを確認します。
9.質問や困りごとの相談先
仕事で判断に迷ったときや、体調面で相談が必要になったときは、それぞれどなたに相談する形になりますか。
業務上の質問と、障害・体調に関する相談では、窓口が異なることがあります。
10.業務量を調整する方法
依頼が重なり、期限内にすべて対応することが難しい場合は、誰とどのように優先順位や業務量を調整しますか。
「困ったら相談してください」という説明を、実際の対応へ掘り下げる質問です。調整を判断する人や、相談するタイミングを確認できます。
必要な配慮を具体化する
11.自分に必要な配慮の実施方法
私は〇〇の場面で支障があるため、△△の対応を希望しています。配属予定の部署では、どのような方法で対応できそうでしょうか。
困る場面と希望する対応を組み合わせて伝えます。方法がまだ分からない場合は、困っている事情を説明し、対応を一緒に検討してもらうところから相談できます。
12.配慮事項の共有範囲
合意した配慮事項は、配属先ではどの範囲の方に、どのような形で共有されますか。
実際に一緒に働く人へ必要な情報が伝わるかを確認します。障害に関する情報のうち、何を誰に伝えるかも話し合っておきましょう。
13.配慮を見直す手順
入社後、業務内容や体調の変化で配慮の調整が必要になった場合、どのような手順で相談できますか。
入社時の対応だけでなく、働き始めてから困りごとが生じた場合の相談方法を確認します。
14.通院のための時間調整
定期通院のため、〇か月に一回、平日に時間の調整が必要です。利用できる休暇や勤務時間の調整方法を教えていただけますか。
通院頻度と必要な時間を伝え、入社直後から利用できる方法まで確認すると具体的です。
15.会議や研修での情報の受け取り方
会議や研修では、資料の事前共有、字幕、決定事項の文字での共有について相談できますか。
普段の会議方法を聞いたうえで、自分に必要な方法を確認します。「字幕がある」場合も、使える場面や、聞き取れなかった内容を補う方法まで尋ねられます。
16.休憩や座席などの環境調整
〇〇の場面で負担が大きくなるため、短い休憩の取り方や、刺激の少ない座席について相談したいです。配属先では、どのような調整が可能でしょうか。
負担が生じる場面を説明し、実際の職場で利用できる方法を確認します。休憩時間や頻度が分かっている場合は、それも伝えてください。
職場との相性とキャリアを確認する
17.仕事の難しさと習得時の支援
この仕事で、入社した方が最初につまずきやすい点と、その際に行っている支援を教えていただけますか。
仕事の難しい面と、会社側の対応を確認する質問です。「覚悟しておくべきこと」を漠然と聞くより、業務上の具体的な場面を尋ねます。
18.個人作業と共同作業の進め方
配属予定のチームでは、個人で進める仕事と、周囲と相談しながら進める仕事には、どのようなものがありますか。
「コミュニケーションが多いですか」だけでは、判断の基準が人によって異なります。実際の仕事を例に聞くと、自分に合う進め方かを考えやすくなります。
19.担当業務やキャリアの選択肢
この職種で経験を積んだ後、担当業務の拡大や職種変更、昇進を希望する場合、どのような選択肢がありますか。
制度上の選択肢に加えて、応募する職種から進める範囲や、判断の基準を確認します。過去の例があっても、自分に同じ機会が保証されるとは限らないため、適用条件も尋ねましょう。
20.上司が相談しやすい環境をつくるための工夫
配属予定のチームでは、メンバーが困りごとを相談しやすくするために、上司の方がどのような工夫をされていますか。
面談制度の有無だけでなく、日常のチーム運営について聞く質問です。自分が大切にしたい働き方と、上司の考え方や取り組みに接点があるかを確認できます。
面接官の立場と選考段階に合わせて質問する
同じ企業でも、人事担当者と配属先の上司では、把握している内容が異なります。
| 質問する相手 | 主に確認したい内容 |
|---|---|
| 人事・採用窓口 | 雇用条件、会社の制度、選考の流れ、配慮の調整窓口 |
| 配属予定の上司 | 担当業務、指示方法、業務量、評価、配属先での配慮 |
| 配属先の社員 | 日々の仕事、連携方法、職場の具体的な様子 |
| 役員・経営者 | 採用する役割への期待、事業や組織の方向性 |
これは目安です。相手がその場で答えられない場合は、確認できる人につないでもらいます。
配属先での運用も確認したいのですが、上司になる方へ確認いただくことは可能でしょうか。
一次面接では、仕事内容や必要な配慮を確認し、選考を進めるかを考えます。その後の面接では、前回の回答を踏まえて、役割や評価、まだ分かっていない重要事項を具体化していきます。
面接回数や出席者は企業によって異なります。「最終面接まで聞かない」と一律に決めず、判断に必要な情報を確認できる相手がいるときに尋ねてください。
配慮や給与・休暇についても、必要な時期に確認する
給与、勤務時間、残業、通院時の対応は、働き続けられるかを判断するための情報です。求人票を確認したうえで、不明な点や実際の運用を尋ねましょう。
たとえば、残業時間については次のように聞けます。
求人票では月平均〇時間と確認しています。配属予定の部署では、通常期と繁忙期でどの程度変わりますか。
入社や継続勤務に不可欠な条件は、企業が検討できるよう早めに伝えます。面接で字幕や筆談が必要な場合など、選考を受けるための配慮は、当日の逆質問まで待たずに相談してください。
雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主には過重な負担とならない範囲で合理的配慮を提供する義務があります。具体的な方法は、本人の状況と職場の条件を踏まえて話し合います。厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」
配慮を伝える時期や、内定後に確認したい内容は、「障害者雇用の配慮事項はいつ伝える?面接・オファー面談の例文」で詳しくまとめています。
逆質問の回答と面接官の対応から、会社との相性を考える
私が面接での違和感を気にする理由
私自身、面接で感じた違和感が、入社後にも働きづらさとして表れた経験があります。そのため、面接中に気になったことを、選考が進んでいるからという理由だけで流さない方がよいと考えています。
ただし、これは私の経験です。面接官一人の印象から、会社全体の雰囲気や入社後の状況を確定することはできません。
気になった点は、どの発言や対応からそう感じたのかを整理し、必要に応じて追加で確認する材料にします。
回答の具体性と、確認への対応を見る
逆質問への回答では、次の点を確認します。
- 担当業務や、期待する役割を具体的に説明しているか
- 指示を出す人と、相談先が分かるか
- 必要な配慮について、配属先での実施方法を検討しているか
- 対応が難しい場合に、理由や別の方法を説明しているか
- 未確認の事項について、確認先や回答時期を示しているか
- 求人票や、別の担当者から聞いた説明と食い違っていないか
「対応できます」という返答を受けたら、誰が、いつから、どのように対応する予定かまで確認します。
その場で即答できなくても、配属先へ確認してから回答することには意味があります。一方、重要な点が曖昧なままなら、判断に必要な回答をいつ得られるかを尋ねましょう。
話し合いができるかも判断材料にする
話がうまくまとまらなかったときに意図を確認してくれるか、困る場面を説明したときに具体的な対応を考えてくれるかも、確認したい点です。
高齢・障害・求職者雇用支援機構の企業向け資料でも、採用面接では障害特性に応じた配慮を行い、必要な支援を確認することが示されています。障害に関する情報は、本人の同意を得たうえで、必要な範囲を確認するという考え方です。同機構「採用選考(面接)」
また、仕事との関係が分からない私生活の質問を受けた場合には、質問の意図を確認する方法があります。
業務との関係では、どの点を確認されていますか。
厚生労働省は、家族や生活環境など、応募者の適性・能力に関係のない事項を採用選考で把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。厚生労働省「公正な採用選考の基本」
笑顔や話しやすさは印象の一つですが、具体的な説明や、必要な確認への対応もあわせて見ていきましょう。
面接後は、回答・印象・未確認点を分けて残す
面接が終わったら、気になった点を短く記録します。次のように分けると、追加で何を確認すればよいかが分かります。
| 記録する内容 | 例 |
|---|---|
| 実際の回答 | 「急な依頼は上司が優先順位を決める」と説明された |
| 自分の印象 | 相談しやすそうだと感じた |
| まだ分からないこと | 上司が不在のときの確認先は聞けていない |
別の面接官から異なる説明を受けた場合も、部署による違いなのか、まだ調整中なのかを確認します。
前回は〇〇と伺いましたが、今回のご説明との違いを確認させていただけますか。
入社判断に関わる点は、内定承諾前に回答を得て、提示された労働条件や配慮の合意内容と照合しましょう。
面接だけでは職場の様子を判断しきれない場合は、見学など、追加で確認できる機会があるか相談する方法もあります。実習や就業を通じて確かめる方法については、「障害者が職場との相性を確かめる方法」で、それぞれの違いを紹介しています。
避けたい聞き方と、質問の整え方
抽象的な言葉だけで聞く
「障害への理解はありますか」「働きやすい会社ですか」では、具体的な働き方が分かりません。
「重要な指示を文字でも確認できるか」「通院の時間をどう調整するか」など、自分に必要な場面へ置き換えます。
希望する答えへ誘導する
「障害者雇用でも、当然昇進できますよね」と聞くより、評価基準や応募職種から進めるキャリアを尋ねる方が、判断に必要な情報を得やすくなります。
他の社員の詳しい個人情報を求める
同じ障害の社員がいるかを知りたくても、個人の症状や配慮内容まで尋ねることは避けます。自分に必要な対応と、会社の相談・支援体制を確認しましょう。
一度に多くのことを聞く
仕事内容、評価、配慮、職場の雰囲気を一つの質問に詰め込むと、どこに答えてもらいたいかが分かりにくくなります。
まず最も知りたいことを聞き、回答を受けてから必要な点を掘り下げます。
説明された内容を、前提なしで聞き直す
すでに聞いた説明を確認したい場合は、分からなかった部分を示します。
先ほど〇〇と伺いました。私の理解では△△ということですが、合っていますか。
聞き取れなかったり、整理する時間が必要だったりする場合は、その旨を伝えて確認してください。
質問が思いつかない・メモを使いたいとき
準備した疑問がすべて解消した場合は、無理に新しい質問を作る必要はありません。
本日のご説明で、準備していた疑問は解消しました。現時点では追加の質問はありません。ありがとうございます。
確認したい点が残っているものの、その場で言葉にできない場合は、後から問い合わせる方法を確認します。
メモを参照したい場合は、事前に使用できるか相談しておくと進めやすくなります。当日必要になったときも、「準備したメモを確認してもよろしいでしょうか」と伝えられます。
面接で聞かれる質問への準備や、緊張したときの対応については、「障害者雇用の面接で聞かれることは?質問例・答え方と緊張対策」も参考にしてください。
逆質問で得た回答を整理しにくい場合は、利用中の転職エージェントや就労支援機関の担当者に、回答と未確認点を見てもらう方法もあります。
仕事内容、必要な配慮、その実施方法を具体的に確認し、自分に必要な条件を満たせる職場かを考えていきましょう。
