発達障害

ロールシャッハテストの結果を公開|発達障害の診断過程で受けた私の体験

「ロールシャッハテストでは、どのような結果を説明されるのだろう」
「自分でもうまく説明できない、生きづらさを理解する手がかりになるのだろうか」

聴覚障害と発達障害の当事者、むじなです。

私は2018年1月に発達障害と診断されました。その診断の過程で、WAIS-Ⅲ、CAARS、AQ日本語版、ロールシャッハテストを受けています。

今回は、そのうちのロールシャッハテストについて、当時の流れ・時間・費用、結果説明と、それを読んだ感想を紹介します。

正直なところ、受ける前は「こんな検査で自分のことが分かるのだろうか」と疑っていました。

ところが結果を読んだときは、自分では誰かに説明できなかったつらさが言葉になっていると感じ、少し泣いてしまいました。

一方で、説明のすべてに納得したわけではありません。その違和感も含めて、当時の体験を残したいと思います。

※本記事は過去の受検体験です。現在の自分を再検査した記録ではなく、結果説明も当時の私個人に対するものです。読者の方の性格や発達障害の有無を判断するための記事ではありません。

ロールシャッハテストとは?発達障害を単独で診断する検査ではありません

ロールシャッハテストは、インクのしみのような図版を見て、どのように見えるかなどを答える心理検査です。

横浜市立大学附属病院では、ロールシャッハテストなどの心理検査について、心理的な特性や状態を評価し、診断の補助などに用いるものと説明しています。結果には専門家による適切な解釈が必要です。横浜市立大学附属病院「精神科・主な検査」

ただし、この検査の結果だけで発達障害と診断されるわけではありません。

京都大学医学部附属病院も、単独で発達障害を診断できる検査はなく、心理検査は補助的な位置づけであり、問診や家族・周囲からの情報収集が必要と説明しています。京都大学医学部附属病院「発達障害は検査で分かるの?」

私の場合は診断の過程で受けましたが、発達障害が気になる人全員が、同じ検査を受けるという意味ではありません。

また、この記事では検査図版や回答例、回答ごとの意味・採点方法は扱わず、私自身の受検体験と結果の受け止め方に絞って紹介します。



私が受けたときの流れ・検査時間・費用

検査は個室で、臨床心理士の方と一対一で行いました。

カードを見て何に見えるかを答え、その後、どの部分がどう見えたのかについて詳しく確認されました。私の場合は、印象に残った図版などについて答えるやり取りもありました。

当時の記録は、次のとおりです。

項目 私が受けたときの内容
実施方法 個室で、臨床心理士の方と一対一
所要時間 2時間弱
支払った費用 診察込みで2,560円・保険適用

時間と費用は、当時の私個人の例です。現在の標準料金や、誰でも同じ条件で受けられることを示すものではありません。

受検を検討している方は、検査の必要性や目的、所要時間、費用、保険適用の有無を受診先に確認してください。

私のロールシャッハテストの結果説明

以下は、当時の結果説明として以前から本記事で公開している文章です。氏名は「むじな」に置き換えています。

私個人への所見であり、発達障害のある人全般の特徴を説明する文章ではありません。 後に続く筆者の感想とは分けてお読みください。

むじなさんの性格や言動の根底には、常に自分が安全圏にいないと安心ができない、危険な道は決して渡らず、想定できる限りの条件を考え抜き、自分が安全だと思えないと実行に移さないという非常に慎重なものがあると思われます。

対人関係も同様に、相手が自分を傷つけるかどうか見極めが付かない時には決して踏み込まず、信用に値すると確信ができるまで距離を縮めない、それくらいの緊張感を持っていると考えられます。

社会に出る、人と接するということは、心情としては常に戦場の第一線でいつなん時どんな攻撃が仕掛けられるのか分からない、ストレスでピリピリした状況を強いられているのと同じだと言えます。

エネルギーのほとんどは攻撃に備えた防御に使われ、いつもヘトヘトだとは思われますが、悲観的なものの見方の傾向が強いため、どんなに努力を重ねても、その努力を自分で認めることはなく、自分自身に対する価値観を上げられないところがあります。

情報処理の質としては非常に良く、感情的に判断せずに論理的に考え抜いて行動することで、いつも完璧なものを出そうと能力以上のものを出しています。

感情表出は過度にコントロールされており、感情刺激に対する関心は比較的少ないものにとどめています。自分が傷つかないためにもこの選択はもっともであり、自分の脅威となるものには手を出さないのが自然です。

ただ、その反動か、抑え込んでいる感情、特に怒りは相当なものであり、自分の中に制御できないほどの攻撃性を持っていると言えます。それがどんな形で外に出てくるのか、自分自身でも分からないところに不安も抱えているのではないでしょうか。

また、そのような歪みは時として、現実検討力や認知機能の低下にも影響を与え、社会や人への拒絶反応として現れてきています。

一見、ストレスへの対応や感情のコントロールもできており、バランスがとれた自分を出すことができています。ただ、その自分を作り上げるために、相手に隙を見せないようにと今にも途切れそうな努力で保たれている現実があるようです。

本当は誰かに頼りたいが、本当の自分は見せられないし、見せ方も分からない。社会からも自分からも距離を保つことが、逆に孤立を深めることは分かっていても、自分が傷つき制御できなくなる恐れには代えられない。

緊張と葛藤と自分への無力感、そのようなものを抱える中で、今回受診をされたのは、言葉や表情には出てこない大きなSOSだとも考えられました。

※今回実施した検査は、むじなさんの能力の一側面を表しているに過ぎません。結果にとらわれず、自分や周囲がより健康的に過ごすためにどんな工夫ができるのかを考えていくことが大切です。

結果を読んだ感想:言葉にできなかったつらさが表現されていた

ここからは、結果説明を読んだ私自身の感想です。

検査結果を見せられるまでは、「こんな検査で俺のことが分かってたまるか!」と、内心では思っていました。

それだけに、説明を読んだときの驚きは大きかったです。

特に、人と接するときに強い緊張があること、その緊張に対処するだけで疲れ切ってしまうこと、誰かに頼りたくても自分を見せられないことについては、とても納得しました。

自分で誰かに話すことができなかったつらさが、文章になっている。

そう感じて、少し泣いてしまいました。「これを自分の内面の自己紹介文にしたい」と思ったほどです。

ただ、これは私が説明を読んで感じたことです。ロールシャッハテストを受ければ、誰でも同じような納得感を得られる、という意味ではありません。

一方で、「攻撃性」という説明には違和感もあった

結果説明のすべてを、そのまま納得して受け入れたわけではありません。

特に引っかかったのが、抑え込んでいる怒りや攻撃性についての部分でした。

怒りを溜め込んでいる、という点には心当たりがありました。当時の私は、物心ついてから本気で誰かに怒りを発散したことがなく、そのやり方も分からないと感じていたからです。

ただ、「攻撃性」という言葉は、自分の感覚とは少し違いました。

私の実感では、怒りが強くなると誰かに向かっていくというより、どうしようもない状況に打ちひしがれ、周囲との関わりを拒んで引きこもる方でした。

説明に納得した部分もあれば、自分の感覚とは合わない部分もあった。 そこは、率直に残しておきたいと思います。

この体験だけから、所見の正誤を私が判断することはできません。ご自身の結果で分からない表現や違和感があった場合は、検査を担当した専門家に、言葉の意味や自分の実感との違いを確認してほしいと思います。



結果は、自分のすべてを決めるものではない

結果説明の最後には、検査が示しているのは私の一側面であり、結果にとらわれず、より健康的に過ごすための工夫を考えることが大切だと書かれていました。

この注意書きも、結果の本文と同じように大切な部分だと思います。

私にとっては、言葉にしづらかったつらさを説明する手がかりになりました。一方で、違和感の残る表現もありました。

また、同じ診断の過程で受けたWAIS-Ⅲについては、ロールシャッハテストほどの納得感はありませんでした。全検査IQは100でしたが、結果の説明と日常生活での困りごとには違いを感じています。

検査ごとに、私の受け止め方も違ったわけです。

WAIS-Ⅲの結果と、生活での困りごととの違いを読む

まとめ:私には、自分を説明する手がかりになった

受ける前は疑っていたロールシャッハテストですが、結果の説明を読んだ私は、自分でも表現できなかったつらさが言葉になっていると感じました。

一方で、すべての説明に納得したわけではありません。

この記事で伝えたいのは、「この検査を受ければ本当の自分が分かる」ということではなく、一人の当事者が、どのような説明を受け、それをどう受け止めたのかという実例です。

生きづらさがあるからといって、誰もがこの検査を受ける必要があるわけではありません。検査の種類を先に決めるより、まずは今困っていることを医療機関で相談し、必要な評価や支援について話し合ってほしいと思います。

私が初診を予約し、受診・検査・診断に至った経緯は、次の記事にまとめています。

大人の発達障害を疑ってから、受診・検査・診断に至るまでの体験を読む

仕事での生きづらさを考えたい方へ

仕事で困っている場合は、自分の特性だけでなく、仕事内容や周囲とのやり取り、職場環境との関係も考えたいところです。

診断名だけで向いている仕事を決めず、働きやすい環境や配慮から考える視点を、別記事にまとめています。

発達障害の人に向いている仕事は?職場環境と配慮から考える

※本記事は個人の受検体験です。医学的な診断や、読者の方の検査結果の解釈を提供するものではありません。受検の必要性や結果については、医療機関・検査を担当する専門家にご相談ください。

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