発達障害 障害者の就職・転職

就労移行支援はどんな人におすすめ?発達障害専門のリンクビー見学まとめ

2019年2月27日

目次

障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。

先日のブログで書いた通り、今月いっぱいで退職予定。これまでの身体障害(聴覚障害)に加えて、発達障害の当事者として何度目か分からない転職活動をスタートしました。

基本的に、これまで通り障害者専門の転職エージェントを利用する予定です。

が、発達障害と診断されたのはつい先月のことで、当事者としての自己理解・障害理解がまだ不足していると実感しています。

ここの準備ができていないと採用選考の突破は難しいですし、「自分に向いた仕事・会社」を見つけることは難しい。

そういう事情もあり、今回は就職・転職活動の一歩手前、企業就労に向けた訓練・支援を受けられる「障害者就労移行支援事業所」の利用も検討してみました。

これまで「採用する側」として見学したことは何度もありましたが、「利用する側」として訪問したのは初めてです。

地域障害者職業センターでオススメされたいくつかの事業所を回ってきました。

今回は、就労移行支援事業の特徴と、訪問した中で一番オススメできると感じた「リンクビー」についてご紹介します。

 

就労移行支援事業とは(簡単に)

就労移行支援事業は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの一つです。

企業就労を目指す障害者に向けて、「障害理解を深める」「職業トレーニング」「企業での実践的な実習」などを通して就職に向けたスキルアップや、就職活動のサポートも受けられます。

 

障害者手帳を持っていなくてもサービスを受けられる

ハローワークで障害者枠の求人を探すのも、障害者向けの転職エージェントを利用するのも、「障害者手帳を所持していること(申請中も可)」が原則です。

一方、就労移行支援事業所は、「主治医の診断+自治体(福祉事務所等)の認定」があれば利用することができます(詳しくはお住いの自治体の福祉の窓口に要相談)。

実際に障害者枠で就職するためには障害者手帳が必須になる訳ですが、手帳の申請には「初診から6か月+申請後1か月以上」の時間が必要になりますので、それまでの期間で利用してスキルアップを図るという使い方もできます。

 

リンクビーとは


発達障害専門の就労移行支援【リンクビー】(PR)

リンクビーは、発達障害専門で、かつ転職支援実績No.1の就労移行支援事業所です。

運営会社は、障害者専門の転職エージェント『アットジーピー』も運営しているゼネラルパートナーズ。

リンクビーは全部で3か所、東京(大手町と秋葉原)と大阪(梅田)に事業所があります。

なお、就労移行支援を受けるのは、お住いの都道府県にある事業所でなくてもOKです。実際、リンクビー大手町・秋葉原では、千葉や埼玉、神奈川から通っている方も多いとのこと。

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【プログラム一覧】

  • 職業トレーニング:模擬職場での実践的なトレーニングを行います
  • 自己探求研修:自分を知ることをテーマに、様々な角度から探求します
  • ストレスマネジメント:レクチャー形式でストレスマネジメントについて学びます
  • ビジネスマナー研修:レクチャー形式でビジネスマナーについて学びます
  • PC研修:Word・Excel・PowerPointなどのPCスキルを、レクチャー形式とグループワークで学びます。

【出典:リンクビー 見学会用資料】

 

リンクビーのエントランス
(リンクビーのエントランス。事業所内は机とノートPCが並ぶ「模擬オフィス」になっています。リンクビーに限らず、就労移行支援事業所はどこもオフィスが狭め。)

 

リンクビーの特徴1:実践(企業就労)を想定したプログラム

リンクビー「説明・見学会資料」表紙

リンクビーのおすすめポイントとしては、模擬職場での職業トレーニングがすごく実践的なこと。

 

30以上の業務・職種を体験して適職を見つけられる

私、アラサーで5社以上経験してきたのですが、まだ自分の適職(天職)が分かりません。ここまで迷走していなくても、同じように悩まれる方、結構多いのではないでしょうか。

その仕事が自分に合っているかどうかって、実際にやってみないと分からないんですよね。

そして、「やってみる→合ってなかったので転職する」を繰り返すのは、いろいろな意味でリスクが高いです。

その点、リンクビーでは「チームでやる」「個人でやる」「コツコツ取り組む」「指示が明確な業務」「企画・アイデア系」など様々な切り口で整理・分類した30以上の業務・職種を体験することができます。

例1:マーケティング部門のアシスタント事務(個人作業)

  • あなたは旅行会社のマーケティング部門で働いています
  • あなたの上司は、シニア世代向けの市場に新たに参入したいと考えています
  • 上司が経営会議でプレゼンするための根拠となるデータをウェブ上で探し、グラフなどに加工してプレゼン資料の状態で提出する
  • 上司の意図を正しく理解するために確認したり、作業の進捗を報告しながら業務を進めていく

例2:総務部門でのイベント企画(グループ作業)

  • 社員の交流を目的とした社内イベントをグループ4名前後で企画する
  • 会議をして方向性を決めたり、役割分担をしながら企画をまとめていく
  • 上司に方向性や進捗を報告しながら業務を進めていく

【出典:リンクビー 見学会用資料】

これらの職業トレーニングは、スタッフが上司役になり、日々報連相のトレーニングも行いながら体験していきます。

リンクビーでは、この「報連相に力を入れている」ところも実践的だと思います。

「どんな業務が自分に合っているか」を自分で知ることも重要ですし、採用面接を突破するためにも「どんなことが自分に向いているのか」を根拠とともに語れるようになることも重要です。

職業訓練の中でこれが準備できるのは、就職・転職活動で大いに役立つと思います。

 

リンクビーの特徴2:自己探求(自己理解・障害理解)研修に力を入れている

リンクビーでは、「発達障害者は強みと苦手なことがハッキリしている。なので、強みや特性を活かした『自分らしい働き方』を実現できるようにサポートする」というのを方針としています。

まずは、自分の「強みや特性」をしっかりと認識することが大切だということです。この、いわゆる自己探求研修については、他の就労移行支援事業所よりも力を入れているようです。

具体的には、21項目について、半年の時間をかけて取り組みます。

1.リンクビーで何を得たいか
2.タスク・時間管理
3.自分を取り巻く人
・・・
20.自分の価値観
21.適職発見

最終的には「適職発見」につなげるのが目的です。

それぞれの項目について、「個人ワーク→グループでシェア」することで、グループからも学びながら、自己理解を深めていく。このようなやり方が出来るのは、発達障害専門の事業所ならではですね。

 

特徴3:豊富な採用チャネル(採用経路・手段)による就職サポート

リンクビーの強みは、障害者転職サポート実績業界No.1の『アットジーピー』を擁するゼネラルパートナーズが運営している点です。

「就労の準備(就労移行支援)→就職活動サポート(転職エージェント)」が同じ会社内で機能を持っているので、利用者のことを熟知したアドバイザーがサポートしてくれます。

アットジーピー経由だけでなく、

  • 職場実習(実習からそのまま採用)
  • 移行支援独自のコネクション(利用者のみが参加できる面接会)
  • 事業所見学(企業人事を招く見学会から面接→採用)

など豊富な採用チャネル(採用経路・手段)による就職サポートが受けられるのも、リンクビーならではでしょう。

更に言うと、リンクビーは3ヶ所とも都心に事業所があるというもポイント。

就労移行支援事業所は、その地域付近の企業とのつながりが強いので、都心にある=大企業を含めた多くの企業とつながりがあるということです。

 

就労移行支援事業を利用するか。どんな人におすすめ?

ここまで、リンクビーの特徴を見てきました。

見学した中では一番良かったので結構べた褒めですが、そもそものところで、就労移行支援はすべての障害者におすすめできるものではないとは思っています。

理由としては、

  • 最低6か月くらいの期間を見込まなければならない(基本週5日通所)。
  • その間は収入無し(働きながらは利用できない)。また、前年の収入によっては利用料を支払う必要がある(後述)
  • 交通費も自己負担(お住いの市町村の制度によって補助が出る場合もある)

利用期間については、「6か月」という制度上の決まりがあるわけではありません(上限は原則2年間)。

が、「まずは事業所に慣れて」「自己理解を深めて」「職業トレーニング」「就職活動サポート」を経るので、どうしても「最低6か月」は見ておく必要があるということです。

そうなると、蓄えがなければ、障害年金や失業保険(失業給付)がなければ現実問題厳しいですよね。

・・・ということを踏まえると、障害者専門の転職エージェントとじっくり相談して、「自分にマッチする会社を見つけて働く」がベターなケースが多いと思います。

 

なので、就労移行支援の利用をおすすめできる方は下記に該当する方に限るかなと。

  • 転職エージェントで「紹介できる求人がない」と断られてしまった(稀にあります)⇒就労移行支援なら独自のルートでも求人を紹介してもらえる。
  • 数か月~1年のスパンで転職を繰り返しており、自分に合った会社が見つけられない⇒自分の障害特性・身に着けるべき能力・働ける環境が理解しきれていない。
  • 就業経験が全くなく、PCスキルなど「最低限」のスキルが身についていない⇒障害者の就職・転職ではスキル重視ではありませんが、流石に事務職希望で「ワード?エクセル…?」のレベルだと厳しい。
  • 発達障害の診断を受けたが、手帳の申請はまだできない(初診から6か月経過していない)⇒障害者枠で就職・転職するなら手帳の取得は必須ですので、それまでの準備期間として利用するのは大いにアリ。

参考:就労移行支援の利用料金(前年の収入による)

生活保護(生活保護受給世帯) 0円
低所得(市町村民税非課税世帯) 0円
一般1(市町村民税課税世帯) ※世帯収入がおおむね600万円以下 9,300円
一般2(上記以外) 37,200円

 

まとめ:見学・体験は無料なので、まずは実際に行ってみるのが一番

就労移行支援事業所の特徴・リンクビーの特徴・どんな人におすすめか、を見てきました。

「就労移行支援の利用をおすすめ出来るのはこんな方に限るかな」とか言ったばかりですが、見学ならだれでも無料なので、気になる方は実際行って自分の目で見てくるのが一番です。

また、リンクビーでは見学後に一週間の無料体験もできるということですので、イロイロ面倒な市町村の手続きなど考える前に、まずは「見学⇒自分に合いそうなら体験利用」してみるのが良いと思います。

見学の申し込みは公式ホームページのフォームからすぐに予約できますし、事前に準備するものや当日持参するものも一切なし。予約したら後は体ひとつで行くだけ。

なお、リンクビー東京(秋葉原も大手町も)の現在の空き状況は「1~2名のみ」ということなので(2月時点)、気になる方は早めに動いた方が良いかも。

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