障害者の就職・転職

「転職エージェントを利用すると選考が不利になる」は間違い

2018年1月13日

目次

障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。

先日ブログ読者の方から以下のような質問を頂きました(承諾を得て掲載)。

はじめまして、●●と申します。

私も障害があり、転職を希望していて、ブログを隅から隅まで読んで参考にさせていただいています!

このブログでは転職エージェントの利用を推奨されていますが、「転職エージェントを利用すると、企業側は費用負担が大きいので、選考が不利になる」というような情報を目にします。

むじなさんの採用担当者としてのご意見を伺えると有難いです。

よろしくお願いします。

確かに、この手の話はいろいろなサイトで目にします。

少し説明すると、転職エージェントを通して採用すると、企業はエージェントに対して紹介料を支払う必要があります(利用する(転職する)人は無料で利用できますよ)。

なので、「直接応募した人」と「転職エージェントを通して応募した人」がいた場合、費用が掛からない分「直接応募した人」の方が有利では?という話ですね。

こと障害者採用に限って言えば、「転職エージェントの利用は採用に不利にはならない」と断言できます

 

理由1:企業が採用のために使う費用は「転職エージェント」だけではないから

転職エージェントに支払う紹介料は、通常採用した人の年収に応じて支払います。年収×35%(25%~40%)程が相場でしょうか。

仮に35%と置くと、年収300万円の条件で採用した場合、300万円×35%=105万円の紹介料を転職エージェントに支払う必要があるということです。

しかし、企業が採用のために使う費用は、転職エージェントだけではありません

例えば、大手転職サイトに求人を掲載すると、数週間で数十万円(目安50万円)の費用がかかります。また、合同説明会に出展するにも、同じく数十万円(目安50万円)必要になります。

自社のホームページやハローワークから応募があって、採用できれば費用は掛かりませんが、今はどの企業も応募者不足で悩まされています。

年々法定障害者雇用率も上昇を続けていますので、「自社のホームページやハローワークから応募があって、いい人だったら採用しよう」なんて悠長な企業はほとんどないでしょう。

つまり、転職エージェントを使っても使わなくても、企業は障害者採用のために費用をかけているということです。

 

理由2:転職エージェントの紹介料は、「採用したときだけ払えば良い」から

上記の例では(あくまで例ですよ)、転職エージェント経由で105万円、転職サイト経由で50万円、合同説明会経由で50万円の費用が掛かります。

これでは、やはり転職エージェントを通さずに採用した方が、費用負担は少なくて済みそうです。

更に、転職エージェント経由で採用する場合、紹介料なので「1人当たり」105万円の費用が掛かりますが、転職サイトや合同説明会にかかる費用は「掲載費」「出展費」なので、何人採用しても50万円です。

一見すると転職サイトや合同説明会を利用した方が良さそうですが、逆に言えば、転職サイトや合同説明会は「1人も採用できなくても」費用を支払う必要があります

大手転職サイトに掲載すると数十人から応募がありますし、合同説明会でも、同じく数十人の候補者と面談することができます。

しかし、私が勤める企業では、一度の求人掲載や合同説明会出展で、障害者を採用できることはほとんどありません

私が勤めているのは、知名度のある大手上場企業なので、応募者自体は多く集めることができています。なので、どの企業もほとんど同じ状況のはずです。

「採用できる可能性の低い転職サイトや合同説明会に50万円支払うなら、確実に採用できる転職エージェントに105万円支払う方が良い」というのが採用担当者としての私(と私が勤める企業)の考えです。

 

理由3:転職エージェントを通した方が「質の良い応募者」を集められる

私がこのブログを通して転職エージェントの利用を勧めているのは、「あなたの希望にマッチする企業」を転職エージェントが見つけてくれるからです(他にもメリットはたくさんありますが)。

そしてこれは、企業から見ても全く同じです。

転職サイトや合同面接会で集められる応募者は玉石混交です(言い方は良くないですが「質が担保されません」)。

どんな人が応募してくるか分からないし、「どんな人か」を企業が(というか採用担当者である私が)時間をかけて精査する必要があります。

その点、転職エージェントには「自社がどういった人物を望んでいるのか、自社ではどういった障害配慮ができるのか」を事前に伝えています。

転職エージェントを経由して応募してくる障害者の方は全員、転職エージェントとの面談を経て、その条件を最低限クリアしてきた方ばかりです

なので、企業としてもある程度安心して選考を進められますし、応募者を精査する時間が短縮できます。

 

結論:「基準に達しているなら両方採用」です。「選考に有利かどうか」よりも、あなたにマッチする企業を見つけよう

ここまでで、企業が転職エージェントを利用するメリットが分かっていただけたかと思います。

しかし、「そもそも」の話をすると、あなたが気にかけるべきは「選考を有利に進められるか」ということよりも、「あなたにマッチする企業が見つけられるか」です。

冒頭で書いた、「直接応募」と「転職エージェント経由の応募」どっちが有利かという話ですが、こと障害者採用に限って言えば「採用基準に達しているなら両方採用する」が回答です

過去に記事にしましたが、障害者採用ではスキルや職歴よりも「障害特性上、うちの会社で働けるか」「求める人物像か(スキルではなく人柄の部分)」が重要です

よって、採用後配置する選択肢が広い(特定のスキルが必要なわけではない)ので、障害者採用では「両方採用」が可能なのです

よって、あなたは「自分にマッチする企業」を探すことに尽力するのが正解です。

だから私は、転職エージェントの利用を障害のある皆様におすすめしているわけです。企業は紹介料を支払う必要がありますが、応募する側の利用者は無料で利用できますしね。

 

まとめ:転職エージェントを利用して、あなたにマッチする企業を見つけよう

これで転職エージェントを利用することが「不利ではない」ということが理解していただけたかと思います。

転職エージェントを賢く利用して、ぜひ理想の就職・転職を実現してください。

障害者が転職エージェントを利用することのメリットと、おすすめの転職エージェントは下記の記事でご紹介していますので、ご参照ください。

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