障害者雇用・転職

障害者雇用で転職回数が多いと不利?採用担当の経験と面接での伝え方

「転職回数が多いと、障害者雇用でも不利になるのでしょうか」

以前、30代後半で、新しい仕事に挑戦したいという方から相談をいただきました。これまでに5回の転職を経験し、現職への転職でも苦労したため、次の選考が不安だとのことでした。年齢ごとの転職回数の目安についても尋ねられました。

私自身も5回以上の転職を経験し、企業で採用を担当してきました。転職回数が選考で気にされることはありますが、直近の在籍期間や、求人に合う経験も評価の材料になります。

この記事では、採用担当としての経験、私が面接で聞かれた質問と回答、入社後のミスマッチを減らすために確認していることを紹介します。

障害者雇用でも、転職回数が選考に影響することはある

私が応募者の非常に多い大手企業で採用を担当していた当時は、転職回数による明確な足切り基準がありました。

こうした基準がある企業では、転職理由を説明するだけでは選考を通過できないこともあります。

基準は企業や求人によって異なるため、「30代後半なら何回まで」という一律の目安は示せません。

一方、転職回数が多くても、直近の勤務先で長く働き、求人に合う経験を積んでいることは、採用担当として評価したい点です。現職がある方は、そこで何を担当し、どのくらい続けているかも伝えましょう。

私自身も、転職活動で転職回数への懸念を伝えられたことがあります。その経緯は、12社に応募し、3社から内定を得た転職活動の体験にまとめています。

勤務期間・退職理由・経験を、次の仕事につなげて整理する

転職回数や短期離職について説明するときは、「なぜ辞めたか」と「次はどのような仕事・環境で働きたいか」を整理しておきます。

契約期間の満了、仕事内容の変更、体調や職場環境との不一致、待遇やキャリアへの希望など、転職の事情は一つひとつ異なります。回数だけでは、各社で何があったかは分かりません。

準備するときは、次の項目を書き出してみてください。

整理する項目 確認すること
在籍期間と担当業務 いつからいつまで、実際に何を担当したか
退職の事情 仕事内容、職場環境、待遇、体調、キャリアの希望など、何が関係していたか
その職場での対応 相談や調整をしたことがある場合、何を伝え、どうなったか
次の職場で確認したい条件 同じミスマッチを減らすために、応募前・面接で何を確かめたいか

相談できる環境がなかった、会社の事情で仕事内容が変わったなど、自分では変えられなかった事情も、そのまま整理して構いません。

面接では、退職した事情を事実に沿って簡潔に伝え、その経験から分かった自分に合う働き方、今回の求人を選んだ理由につなげます。

転職経験を強みにするには、実際に担当した仕事を示す

複数の職場を経験したことが、応募する仕事に活かせる場合もあります。ただ、「いろいろな会社で働いたので適応力があります」と言うだけでは、何ができるかまでは伝わりません。

職務経歴書では、各社で担当した業務と、身につけた知識・スキルを具体的に書きます。そのうえで、複数の職場に共通する経験や、今回の求人に活かせる経験をまとめます。

例えば、新しいシステムや手順を覚えて仕事を進めた経験なら、何を覚え、どの業務を担当できるようになったかを説明します。

相談者の方のように新しい仕事に挑戦する場合も、これまでの知識やスキルを活かせる部分はないか、求人の仕事内容と照らし合わせて考えてみてください。

面接で実際に聞かれた、転職回数についての質問

私自身の転職活動では、次のような質問を受けました。

「転職回数についてはご自身でどう評価していますか?」

当時は、次のような趣旨で答えました。

さまざまな会社で幅広い職務を経験できた点は、プラスになっていると考えています。

一方で、社内の人間関係を十分に築けていないことで、仕事の進めにくさを感じる場面もありました。

今後は経験の幅を広げるだけでなく、専門性を深め、1社で腰を据えて長く働きたいと考えています。

「長く働きたい」という希望に、応募先で活かせる経験や、仕事を続けるために必要な条件を添えると、入社後の働き方も伝わりやすくなります。

「転職回数が多いですが、飽きやすい面はありますか?」

私の場合は、業界や職種が違っていても、仕事選びで共通して大切にしてきたことを説明できるようにしました。

職歴を振り返るときは、次の点を考えてみてください。

  • それぞれの仕事を選んだとき、何を重視していたか
  • 違う職場でも、共通して取り組んできたことや活かせた経験はあるか
  • 今後はどのような仕事や専門性を深めたいか
  • 今回の応募先を、その希望とどう結び付けているか

仕事の選び方が変わった場合は、そのきっかけや、今の希望につながった経験を伝えます。

ミスマッチを減らすため、仕事内容の確認を変えた

面接での説明だけでなく、私自身が応募先を確認する方法も変えました。

特に聞くようにしたのは、「通常の1日の業務の流れ」と「何に、どの程度の時間を使うのか」です。

求人票に複数の業務が書かれていても、実際にどの仕事が中心になるかは、業務名だけでは分かりません。得意な仕事と、負担を感じそうな仕事が、通常の業務でどの程度の配分になるかを確認したいと考えました。

以下は、その確認に使える質問例です。

通常の1日の業務の流れを教えていただけますか。

求人票に記載されている業務のうち、日常的に時間を使うものはどれでしょうか。おおよその配分も教えていただけますか。

イレギュラーな対応はどの仕事にもありますが、まずは普段の業務の流れと配分を確認するようにしています。

そのうえで、自分が力を発揮できそうか、どの部分に相談や調整が必要かを考えます。仕事内容や職場環境を確かめる質問は、障害者雇用の面接で使える逆質問でも紹介しています。

やる気を示すために、苦手な仕事まで「できます」と答えない

もう一つ意識するようにしたのは、面接で「こういう業務はどうですか」と提案されたときの答え方です。

苦手そうな仕事について、意欲を見せるためだけに「できます」「やります」「得意です」と答えず、懸念がある場合は正直に伝えるようにしました。

そのうえで、自分の経験や得意なことを活かして貢献できる方法がないか、前向きな説明も付け加えました。

懸念と貢献できる点を、次のように整理すると伝えやすくなります。

  1. 提案された業務の、どの部分に懸念があるか
  2. どのような進め方や条件なら対応を検討できるか
  3. 実際に経験してきたことや、得意なことをどう活かせるか

具体的な作業や進め方を確かめ、対応できることと、相談が必要なことを分けて伝えます。

必要な配慮をいつ、どのように説明するかについては、障害者雇用の配慮事項を伝えるタイミングと例文にまとめています。

確認の仕方を変えてから、在籍期間も変わった

以前は、数か月から2年未満で退職することが多くありました。

仕事内容の確認を増やし、苦手そうな仕事についても無理に引き受けず、懸念と貢献できる点を伝えるようにしてからは、「思っていたのと違った」というミスマッチが減りました。それ以降の勤務先では、どこも3年以上勤めています。

私にとって大きかったのは、「採用されるか」だけでなく、「自分に合う仕事か」を面接で確かめるようになったことです。

転職回数の説明と、次の職場の確認をセットで準備する

転職回数が多いと、選考で不利になる場合はあります。ただ、回数だけで挑戦を諦める必要はありません。過去の回数は変えられなくても、経験の伝え方と、次の職場の選び方は見直せます。

これまで何を担当し、なぜ転職したのか。次はどのような仕事・環境で働きたいのか。まずは、そのつながりを整理してみてください。

面接では、自分の経験や必要な配慮を伝えると同時に、業務の流れや配分も確かめます。自分をどう伝えるかと、何を確認するか。その両方を準備して、次の職場を選びましょう。

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