障害者雇用・転職

障害者雇用の配慮事項はいつ伝える?面接・オファー面談の例文

「必要な配慮を、面接でどこまで話せばよいのだろう」

「内定後のオファー面談まで待ってもよいのだろうか」

障害者雇用の就職・転職活動では、配慮事項を伝える時期に迷うことがあります。採用されたい気持ちと、入社後も無理なく働ける条件を確認したい気持ちの間で、言い出しにくくなることもあると思います。

私は聴覚障害と発達障害の当事者で、一般企業で人事労務の仕事をしています。自身の転職経験も踏まえ、選考への参加や継続勤務に不可欠な配慮は、企業が対応を検討できるよう、早い段階で伝えることが大切だと考えています。

この記事では、応募前・面接・内定後の役割を整理し、疲れやすさなど、外からは分かりにくい負担の伝え方も紹介します。

配慮事項は「必要性」と「準備時間」で伝える時期を決める

伝える時期を考えるときは、「その配慮がなければ何が難しいか」と「企業が検討・準備するために、どのくらい時間が必要か」を確認します。

配慮・条件の位置付け 例 伝える時期の目安
選考を受けるために必要 面接の字幕・筆談、適性検査の受検方法の調整 面接・検査の日程が決まる前後に、余裕を持って申し出る
入社・継続勤務に不可欠 電話業務の調整、通院時間の確保、勤務時間の制限 応募判断に関わるものは応募前に、その他も選考の早い段階で相談する
働きやすさを高める希望 なくても勤務できる範囲での出社日数や座席の希望 選考中から内定承諾前までに、優先順位を付けて相談する

これは、項目名だけで分類するものではありません。在宅勤務が「あると助かる希望」である人もいれば、「通勤を続けることが難しいため必須の条件」である人もいます。自分の場合に、それがないと何が起きるかを考えてください。

また、配慮が必須であっても、実施方法を相談できる場合があります。たとえば「指示を正確に確認できること」は必要でも、方法はメール、チャット、手順書などから検討できるかもしれません。必要性は早めに伝え、方法は仕事内容が分かるにつれて具体化します。

雇用分野では、障害者雇用促進法に基づき、事業主には過重な負担にならない範囲で合理的配慮を提供する義務があります。具体的な対応は、本人の意向を尊重しながら話し合って決めます。厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」

面接では、仕事への影響と希望する対応をセットで伝える

障害名だけでは、実際にどの業務で困り、何を調整すれば働けるかは伝わりません。次の順で整理すると、説明しやすくなります。

  1. どの場面で、何が難しいか
  2. 自分で行っている対処があれば、その内容
  3. 会社に相談したい対応
  4. その対応があれば、どのように仕事を進められるか

たとえば、口頭の指示を整理することが難しい人なら、次のように伝えられます。

口頭で複数の指示を同時に受けると、優先順位を整理しきれないことがあります。自分でもメモを取っていますが、作業内容と期限をチャットやメールでも確認できると助かります。文字で確認しながら、取り組む順番を整理したいと考えています。

「臨機応変な対応が苦手です」「静かな環境が必要です」といった説明も、実際の場面へ置き換えてみてください。急な依頼が重なるのか、周囲の話し声で集中が途切れるのかによって、相談する対応は変わります。

自分だけで対処方法を見つけたり、代替案をすべて用意したりしてから申し出る必要はありません。厚生労働省の指針でも、希望する措置を具体的に説明することが難しい場合は、支障となっている事情を伝えればよいとされています。困っている場面を説明し、方法を一緒に考えるところから相談できます。厚生労働省「合理的配慮指針」

「疲れやすい」も、負担が生じる場面から説明する

私の場合は、話を聞くこと自体に集中力を使う

私には聴覚障害があり、会話を聞くときには、聞こえるわずかな音を拾い、話の主題や前後の文脈から意味を考え、次にどのような話が続くかを予想しています。

私の感覚では、この作業を繰り返すことに集中力を使い、話を聞くこと自体が疲れにつながります。外からは会話についていけているように見えても、その間にどのくらい負担がかかっているかは伝わりにくいと思います。

これは私自身の聞こえ方と負担の説明です。同じ聴覚障害でも、聞こえ方や必要な配慮は異なります。

この経験から、配慮を考えるときには、目の前の作業ができるかだけでなく、その負担で働き続けられるかも確認してほしいと感じています。

疲れやすさを面接で説明する例文

「疲れやすいので配慮してください」だけでは、企業も対応を考えにくいことがあります。負担が生じる場面と、相談したい変更を組み合わせます。

たとえば、会議での聞き取りに負担があり、文字情報の併用を希望する人なら、次のように伝えられます。

聴覚障害があり、音声を聞き取りながら内容を補って理解することに負担があります。会議では、資料の事前共有と、決定事項・担当業務の文字での共有をお願いしたいです。文字情報を併用できれば、聞き取れなかった部分を確認しながら仕事を進められます。

休憩の取り方を相談したい場合には、次のような説明も考えられます。

会議や対人対応が続くと疲労が強くなり、集中を保つことが難しくなります。間に短い休憩を取れるよう相談したいです。必要なタイミングや取り方を、業務の予定と合わせて確認させてください。

上の例文は、自分の状態と希望に合わせて使うものです。休憩の時間・頻度や、残業の制限などが継続勤務に不可欠なら、その内容も選考の早い段階で伝えます。具体的な必要量が分かっていない場合は、数値を無理に決めず、どのような場面で負担が大きくなるかを説明してください。

休憩に加えて、会議での情報の受け取り方、仕事の組み合わせ、業務量や優先順位を相談する方法も考えられます。自分が何に困っているかを起点に、応募先の仕事に合う対応を検討します。

応募前・選考中・内定後で、確認する内容を具体化する

応募前・応募時:選考参加と応募判断に必要なこと

面接で字幕や筆談が必要な場合、適性検査の方法を調整してほしい場合は、実施日より前に採用窓口へ申し出ます。準備に時間がかかることもあるため、日程調整の段階で相談すると進めやすくなります。

勤務時間、勤務地、電話対応などが応募判断に直結する場合も、求人票を確認したうえで、不明な点を早めに問い合わせます。

電話業務の調整を確認する例です。

電話での会話に支障があるため、応募前に、担当業務に電話対応が含まれるか確認したいです。含まれる場合、メール等への代替や、担当業務の調整について相談できるでしょうか。

転職エージェントを利用している場合は、担当者を通じて確認する方法もあります。「配慮可能です」という回答を受けたら、どの業務を、どの方法で調整できるのかまで確認します。

私が障害者ナビの初回面談を受けた際も、障害名だけでなく、実際に困った場面と必要な配慮を確認されました。自分の説明を整理したい方は、障害者ナビでの面談体験も参考にしてください。

面接・選考中:配属先の仕事に照らして確認する

面接で仕事内容や職場環境が分かってきたら、伝えた配慮が実際の業務でどう実施されるかを確認します。

  • 業務指示や優先順位を、誰に、どの方法で確認するか
  • 電話、来客、会議、出張などは、どのくらいあるか
  • 休憩や通院のための時間調整を、どう相談するか
  • 在宅勤務や時差出勤には、利用条件や制限があるか
  • 困りごとや体調について相談できる相手は誰か

たとえば、疲れやすさに関係する働き方を確認するなら、「会議が続くことはどの程度ありますか」「繁忙期に業務が重なったとき、優先順位を誰と相談できますか」と聞く方法があります。

採用窓口だけでは分からない場合は、配属予定の上司にも確認してもらいます。面接回数にかかわらず、必要な情報を確認できる相手がいるときに相談してください。

質問の選び方や、指示方法・支援体制を確認する例は、障害者雇用の面接で使える逆質問20選で紹介しています。

内定後・オファー面談:合意内容と実施方法を確認する

オファー面談は、提示された労働条件や入社後の働き方を確認する機会です。実施の有無や、選考を含むかどうかは企業によって異なるため、面談の位置付けと、内定承諾の回答期限を確認します。

ここでは、選考中に相談した配慮が、入社後にどう運用されるかを具体化します。

面接でご相談した、会議の決定事項を文字でも共有していただく点について、配属先では、誰がどの方法で対応する予定でしょうか。

定期通院のため、平日に時間の調整が必要です。入社直後から利用できる休暇や勤務時間の調整方法を教えていただけますか。

内定承諾前には、次の点を確認します。

  1. 仕事内容と勤務地:入社時の担当業務・就業場所と、変更の範囲
  2. 勤務時間と休暇:残業、休憩、通院時の対応、入社直後に使える制度
  3. 雇用条件:雇用形態、契約期間、賃金、有期契約の場合の更新基準・更新上限
  4. 配慮の実施方法:何を、誰が、いつから、どの方法で行うか
  5. 共有と見直し:配属先への共有内容・範囲、困ったときの相談先、調整を見直す方法

契約期間、就業場所・業務、労働時間、賃金などの労働条件は、労働契約の締結時に明示することが義務付けられています。求人票や面接の説明と、労働条件通知書などの内容を照合してください。厚生労働省「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」

配慮の具体的な運用は、労働条件通知書だけでは確認できないこともあります。相談した内容をメール等で確認し、受け入れ担当者への共有方法も含めて記録を残します。業務内容や就業場所の変更によって配慮が必要になる場合は、その際の相談方法も確認しておくと安心です。

病歴や私生活をすべて説明するのではなく、仕事との関係を整理する

配慮を相談するときは、現在の仕事への影響、必要な通院・時間調整、希望する対応を中心に説明します。病歴や、仕事に関係のない家庭事情を、最初から詳しく話す必要はありません。

厚生労働省も、家族や生活環境など、本人の適性・能力に関係のない事項を採用選考で把握することは、就職差別につながるおそれがあると示しています。厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」

質問の意図が分からない場合は、「業務との関係では、どの点を確認されていますか」と聞き、必要な範囲を確認できます。仕事への影響については、できることと支障があることを、現在の状態に沿って正確に伝えましょう。

配慮事項を相談・確認するメールの例文

面接時の配慮を依頼するメール

件名:面接時の配慮についてのご相談

採用ご担当者様

面接の機会をいただき、ありがとうございます。実施方法について、ご相談がございます。

聴覚障害により、音声だけでは質問を聞き取れないことがあります。オンライン面接では字幕機能の使用と、聞き取れない場合に質問の要点をチャットで示していただくことを希望しております。

対応の可否と、利用できる方法を教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

内定後に配慮の実施方法を確認するメール

件名:入社後の配慮事項についての確認

採用ご担当者様

内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。入社を検討するにあたり、面接でご相談した配慮事項を確認させてください。

私の認識では、業務指示を口頭に加えてチャットでも確認できることと、疲労が強くなる場面では短い休憩の取り方を相談できることを、ご検討いただいております。

現時点で決まっている対応と、調整中の事項を教えていただけますでしょうか。あわせて、配属先への共有方法と、入社後の相談先も確認できれば幸いです。

よろしくお願いいたします。

メールでは、すでに決まったことと、まだ相談・検討していることを分けて書きます。相談しただけの内容を「了承いただいた」と扱わず、双方の認識を確認してください。

配慮事項を伝えるときのよくある質問

配慮を伝えると不採用になりそうで不安です

説明の仕方だけで、採用を保証することはできません。ただ、継続勤務に不可欠な条件が対応可能かを確認しないまま入社することにも、負担があります。仕事への影響と希望する対応を整理し、企業がどのように検討するかを確認していきましょう。

相談への引け目については、私自身の体験を交えて、仕事で配慮を求めるのは甘えなのかでも考えています。

オファー面談がない場合はどうすればよいですか

内定承諾前に、メールや面談など、利用しやすい方法で確認の機会を依頼します。「入社後の認識違いを防ぐため、労働条件と配慮事項を確認したい」と目的を伝え、不明点をまとめて問い合わせます。

内定後に初めて必要だと分かった配慮は伝えてよいですか

分かった時点で相談します。詳しい仕事内容や勤務地の説明を受けて、初めて支障に気付くこともあります。新しく分かった事情と、必要な対応を伝え、入社判断に関わるものは承諾前に確認してください。

入社後に疲れ方や必要な配慮が変わった場合はどうしますか

上司や人事、社内の相談窓口へ相談します。入社時の内容を一度決めたら、変更できないわけではありません。厚生労働省の指針でも、障害の状態や職場の状況の変化を踏まえ、必要に応じて定期的に支障の有無を確認することが示されています。厚生労働省「合理的配慮指針」

どの業務・場面で負担が増えたか、何を変えたいかを整理し、対応方法と見直しの時期を話し合います。日常の確認や相談の進め方は、職場での仕事の進め方と相談のコツも参考にしてください。

面接・内定承諾前の確認リスト

  • 選考参加や継続勤務に必要な条件を、希望と分けて整理した
  • 仕事上の支障を、具体的な場面で説明できる
  • 希望する対応と、方法を相談できる範囲を確認した
  • 配属先で実施できることと、調整中のことを区別した
  • 労働条件の書面と、配慮の運用について確認した
  • 入社後の相談先、情報の共有範囲、見直し方法を確認した

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