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障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。
2018年1月、発達障害と診断され、元々の身体障害(聴覚障害)に加え、発達障害の当事者となりました。
私はもともと身体障害者手帳を所持しているのであまり関係のない話なのですが、「今まさに発達障害と診断された」「これからどうやって(障害者として)就職・転職活動しよう」と悩んでいる方向けに、記録を残しておきます。
障害者手帳の申請は、初診から6か月後からしか出来ない
発達障害者が「障害者枠」で就職・転職するためには、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得しなければなりません。
発達障害と診断されたら、すぐに手帳を取得して就職・転職活動を始めたいところですが、まずは主治医・専門医の診断書が必要です。
しかし、手帳申請のための診断書は「初診日から6ヶ月を経過した日以後に作成されたもの」でなければいけません。
私のケースで言うと、診断されたのは2019年1月ですが、初診は2018年12月ですので、初診から1か月で診断されたのに、あと5ヶ月待たないと障害者としては就職・転職活動できないということです。
障害者手帳を所持していない発達障害者向けの就職コースがある~発達障害者雇用開発助成金
「発達障害者として診断されているのに、何の支援も受けられないのか?」というと、そうではありません。
ハローワークでは、「発達障害の診断は受けたが、障害者手帳は取得していない(取得できない/取得したくない)ので、障害者枠で就職ができない」という方向けに、「発達障害者雇用開発助成金」という特別枠があります。
発達障害者雇用開発助成金の概要
発達障害者雇用開発助成金は、「障害者手帳を取得していない発達障害者の就職を後押しする制度」です。
具体的には、下記の通り(厚生労働省より引用)。
- ハローワークの職業紹介により障害者手帳を所持していない発達障害者の方を雇い入れる事業主に対して賃金の一部に相当する額を助成し、雇用を促進します。
- 事業主には、あらかじめ障害についてオープンにし、ご理解いただいた上での就職になり、安心です。
- 雇い入れから約6か月後にハローワーク職員及び地域障害者職業センター職員が職場訪問を行い、職場定着をサポートします。
障害者手帳を取得前、もしくは取得できない事情がある方にとっては有用な制度ですが、通常の「障害者枠での就職・転職」とは異なります。
注意点1.障害者雇用率としてカウントされないので、後押しとして弱い
発達障害者雇用開発助成金の制度を利用して発達障害者を雇用した企業は、一定期間、助成金を受け取ることができます。
しかし、発達障害者雇用開発助成金の対象者は障害者手帳を所持していない発達障害者のため、障害者雇用率のカウント対象外となります。
現状、障害者雇用を進めるための大きな動機・一つの指標となっているのが障害者雇用率ですので、助成金を受けられるとは言え、通常の「障害者枠」よりも企業が発達障害者を雇用する動機としては弱いと思われます。
助成金もMAXで90万円、助成期間も最長で1年6か月と、企業にとってそれほどオイシイ制度でもありません。
注意点2.手帳を申請するまでは障害者向けの求人には応募できない
二つ目の注意点は、手帳を申請するまで、障害者向けの求人には応募できないということ。ハローワークでは明言されましたし、障害者専門の転職エージェントでも同様でしょう。
障害者枠の求人に応募するためには、最低限、障害者手帳の取得申請を終えていることが条件になります。
また、仮に手帳申請の段階で応募して採用の内定が出たとしても、入社できるのは障害者手帳を取得後となります。
つまり、この制度を使って応募できるのは、通常の(健常者枠の)求人のみということです。……障害があると診断を受けているのに、理不尽な話ですが。
まとめ.障害者申請前の(申請できない)発達障害者であれば、発達障害者雇用開発助成金制度の活用も視野に入れよう
調べてみた限りでは、発達障害者雇用開発助成金は、発達障害者にとってそこまで大きく就職・転職を後押ししてくれる制度ではなさそうです。
しかし、ハローワークや地域障害者職業センターの専門家の支援を受けられるだけでも、何の支援も受けずに就職・転職活動するよりは有意義でしょう。
さらに詳しく知りたい方は、最寄りのハローワークで聞いてみましょう。