障害者の就職・転職

面接対策のための障害理解(自己理解)を深める方法【一人でもできる】

2019年3月19日

目次

聴覚障害+発達障害者、元人事マンのむじなです。

現在障害者枠での転職を目指して活動中です。

この記事では、一人でできる、面接対策のための障害理解の方法を解説します(本当は、信頼できるキャリアコンサルタントや転職エージェントとやった方が良いけど)。

◇前置き◇

さて、私はこれまで直近数社で人事を経験し、障害者採用にも携わってきたのですが、自分のこととなると、自己理解(障害理解)がとんと出来ていないことを実感しています。

聴覚障害については、この5年ほど何とか折り合いをつけて生活してきました。

しかし、1月に診断を受けた発達障害(自閉症スペクトラム+ADHD)については、まだまだこれからという段階です。

この「自己理解(障害理解)ができていない」というのは障害者の就職・転職活動においては大変マイナスな状態であります。

なぜなら、「どんな時に(場面で)苦手があり、どんな配慮が必要なのか」を選考の中で会社に伝えることが出来ないから。これでは障害者枠の選考は突破できません。

そんな折、直近で登録した転職エージェント「dodaチャレンジ」から面接対策の提案をいただきました。

dodaチャレンジ_面接対策のご案内文面

この面接対策の面談?カウンセリング?で面接での伝え方がかなり具体化でき、大変参考になりましたので、今回私が体験した手順を書き留めておきたいと思います。

◇前置き終わり◇

それでは、採用面接で会社側にあなたの障害について伝えるための自己理解の手順をみていきましょう。

※基本、職歴がある方向けの内容ですが、学生時代を振り返るなどして応用はできると思います。

 

1.職務経歴書から「上手くいった(得意な)仕事」と「失敗した(苦手な)仕事」を選ぶ

まずは職務経歴書を用意します。

これから就職・転職活動をするからまだ作っていないというあなた、どうせ必要になりますのでこの機会に作っちゃいましょう。

 

職務経歴書には当然、あなたがこれまで携わってきた業務内容が記載されていますよね。

この一つひとつの業務について、「これは上手くいった(得意な)仕事」「これは失敗した(苦手な)仕事」と色分けしていきます。

無理やりすべての業務をどちらかに色分けする必要はなく、当時を思い返してみて、ピンときたものだけで大丈夫です。

例:

1.障害者採用

障害者採用に関する企画立案
募集要項の作成・出稿、転職エージェントとの打ち合わせ
採用面接のセッティング、面接対応
・内定者フォロー、入社手続き

2.メンター制度の導入・推進

メンター制度の企画立案
・メンター研修・メンティ研修の企画・実施
・メンター・メンティに対するフォロー対応

 

2.得意な仕事の共通点、苦手な仕事の共通点を見つけ、分類(言語化)する

ある程度色分けが出来たら、次は「得意な仕事」「苦手な仕事」のそれぞれの共通点を見つけ、分類してみましょう。

私の場合こんな感じで分類できました。

【苦手な仕事の共通点】

・自発的にコミュニケーションをとること
→コミュニケーションを怖がり過ぎ+苦手意識が強すぎて、なかなか人に話しかけるタイミングがつかめない(無駄に想定問答を考え過ぎてしまう)。

・他部署や他社の人間と交渉・調整すること
→周囲の意見に流されやすく、押しの強い人に弱いため、交渉事や調整業務は向いていない(落としどころに誘導できない)。特に利害関係の不一致が起こりやすい他部署や他社が絡むとNG。

【得意な仕事の共通点】

・情報収集・数字の分析
→人事やリサーチ業務で培ってきた「情報収集力・分析力」が強み。PCスキルもそれなりに高いので、情報収集からプレゼン資料作成まで高いレベルでこなせる。

・文章作成・報告書作成
→リサーチ業務での調査報告書作成や各業務での社内発信文書の作成等で経験した、「文章力」が強み。(過剰に心配性な性格が幸いしてか?)隙のない文章が書ける。

・プレゼン・研修
→コミュニケーションが苦手ではあるが、人前で話すことについては評価が高い。事前準備が十分でき、話の流れを自分が常に主導できることが、交渉を伴う業務との違いだろう。

得意を活かし、かつ苦手な部分を配慮してもらいながら働くことを考えると、「人事」「広報(社内広報)」「マーケティング(未経験だとキツイけど)」に適性あり、という結果になりました。

この「苦手な仕事」「得意な仕事」を洗い出すまでは一人でもできるのですが、「それを踏まえてどんな仕事に適性があるだろうか」というところまで踏み込むと、やはりキャリアコンサルタントや転職エージェントからの客観的なアドバイスが欲しいところです。

けど、「苦手な仕事」「得意な仕事」さえしっかり言語化できていれば、採用選考の中での印象はかなり良くなりますよ。

 

最後に.「もう一人のあなたが職場にいたら、どんな配慮をしてあげるか」を考えてみる

この面談で一番「なるほど」と思ったやり方は、「もう一人のあなたが職場にいたら、どんな配慮をしてあげるか」と考えてみること。

「どんな配慮があれば働けるか」と考えると、「どう伝えれば良いのだろう」「どこまで言って良いんだろう」と迷ってしまいますが、

「もう一人のあなたに、あなたはどうしてあげたい?」「あの辛かった時、もう一人の私(=信頼できる仲間がいたと仮定して)にどんな風に接してほしかった?」と考えると、素直に言葉が出てきました。

是非一度、自分に問いかけてみてください。「もう一人のあなたが職場にいたら、どんな配慮をしてあげますか?」

 

おまけ.障害特性(配慮事項)は数値化してみる

ささいなテクニックですが、面接で伝える障害特性について、あいまいな点を残さないように、数値化できるものはすべて数値化して考えましょう。

例えば、

  • マルチタスクが苦手→3つ以上のマルチタスクだと、何から手を付けて良いのか困ってしまう
  • 過集中の傾向があるため、適度に休憩が必要→1時間に1回、5分間の休憩が必要
  • 業務スケジュールは事前に知っておきたい→業務スケジュールは1日前には知っておきたい

などなど。

障害特性の数値化については、正直なところ厳密でなくても構いません。

例えば私の場合、「日常業務のささいなコミュニケーションでも、人の5倍は疲れてしまう」と数値化しました。

疲れ加減なんて主観的なものなので、厳密に言えば人と比べられるものではないのですが、数値化した方が「自分の障害について正しく理解できていますよ」と面接官に印象付けられるからです。

なので、数値で表せるものは、何でも数値で考えてみましょう。

障害理解を深めることは、採用選考を突破するためにも、あなたが快適に働くためにも避けては通れないことです。

選考落ちが続いている方は、一度じっくり自分を見つめなおす時間をとることも必要かもしれません。前述の通り、転職エージェントと相談しながら詰めていくのがおすすめです。私も大変助かりました。

 

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