障害当事者のむじなです。
私は発達障害で障害厚生年金を請求し、最初の請求では不支給となりました。
不支給という結果は分かっても、通知を見ただけでは、「審査の中で何を見て、どのように判断されたのか」までは分かりません。
そこで、不支給となった後に保有個人情報の開示請求を行い、障害年金の審査に関する資料一式を取り寄せました。
実際に資料を確認すると、不支給通知だけでは分からなかった審査の過程がかなり見えてきました。
特に驚いたのが、診断書の日常生活能力から算出された障害等級の目安は「2級」だった一方、最終的な認定結果は3級にも該当しない「非該当」だったことです。
さらに、就労状況が審査資料に具体的に記録されていたことや、ガイドライン上の目安より低い認定結果となるため、複数の認定医による確認の対象になっていたことも分かりました。
この記事では、実際に開示された認定調書などの資料を紹介しながら、障害年金の開示請求をすると何が分かるのか、そして私がどのように開示請求をしたのかをまとめます。
※この記事は私自身の障害年金請求・開示請求の実体験です。審査結果は個々の障害状態や提出資料などによって異なります。
障害年金の開示請求で何がわかった?
私の場合、開示請求によって主に次のことを確認できました。
- 障害年金の審査で作成されていた資料
- 診断書から算出された障害等級の目安
- 実際の認定結果
- 就労状況がどのように記録されていたか
- 認定医による評価
- 複数の認定医による確認の対象となった理由
開示資料の中に「あなたが不支給になった理由はこれです」と一文で答えが書かれているわけではありません。
それでも、結果通知だけでは見えなかった審査の中身を確認するうえで、かなり参考になりました。
実際に開示された障害年金の審査資料
私が請求したのは、最初の障害年金請求についての「障害年金の審査に係る書類一切」です。
開示された資料には、次のようなものが含まれていました。
- 認定調書
- 等級目安確認シート
- 事前確認票(精神障害用)
- 複数の認定医による認定依頼に関する資料
- その他の審査関係資料
ここからは、実際の資料を見ながら紹介します。
認定調書には「就労中」「程度不該当」と記載されていた
まず、「認定調書 障害厚生年金(新規裁定)」です。

実際に開示された障害年金の認定調書。個人情報は黒塗りしています。
実際の認定調書はこのような形式です。
特に確認したいのが、認定医からの評価が記載されている部分です。

認定医欄には「就労中」「症状・程度軽症」「程度不該当」と記載されていました。
認定医欄には、「就労中」「症状・程度軽症」「程度不該当」と記載されています。
最終的な認定結果は、3級にも該当しない「非該当」でした。
また、「就労中」と明記されていることから、少なくとも私の場合、働いていることが審査資料の中で確認されていたことも分かります。
一方で、「就労中」だけではなく「症状・程度軽症」という評価も併記されています。
そのため、この資料だけを見て「働いていたから不支給になった」と考えるのは適切ではありません。
等級目安確認シートでは「2級」が目安だった
次に、開示資料の中で特に気になったのが「等級目安確認シート」です。

開示された等級目安確認シートの全体です。
重要なのは、日常生活能力の評価と等級の目安を示している部分です。

日常生活能力の判定平均2.7、程度4(D4)を目安表に当てはめると「2級」となっていました。
私の診断書では、
- 日常生活能力の判定平均:2.7
- 日常生活能力の程度:4
となっていました。
この組み合わせは区分「D4」となり、開示された等級目安確認シートでは「2級」が目安として示されていました。
「等級目安2級」でも最終的な認定結果は非該当だった
ここが、今回の開示資料の中で最も印象に残った部分です。
診断書の日常生活能力から算出された目安は2級でした。
一方、最終的な認定結果は非該当です。
その途中の記録が残っているのが、「事前確認票(精神障害用)」です。

精神障害用の事前確認票。等級目安のほか、就労状況なども記録されています。
等級目安と事前確認結果の部分を拡大すると、次のようになっています。

目安シート等級は2級。事前確認欄には「3級」と「3級非該当」の両方に丸の記載が残っています。
左側の「目安シート等級」は2級です。
一方、右側の事前確認欄には、「3級」と「3級非該当」の両方に丸の記載が残っています。
この資料だけでは、どの順番で記載されたのかまでは分かりません。
ただし、別の審査資料では事前確認結果・初回認定結果ともに「非該当・その他」とされており、最終的にも非該当となっています。
つまり、診断書から算出された目安は2級だったものの、審査の過程を経て最終的には非該当となったことが確認できます。
等級の「目安」がそのまま認定結果になるわけではない
ここで注意したいのは、「等級目安2級=2級に認定される」という意味ではないことです。
精神の障害に係る等級判定では、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」から算出される等級を目安としながら、病状、療養状況、生活環境、就労状況なども含めて総合的に評価されます。
そのため、等級の目安と実際の認定結果が異なることはあります。
それでも私の場合、目安2級から最終的には非該当となっていたため、どのような情報が審査で見られていたのかを確認したいと思いました。
就労状況も実際に審査資料へ記録されていた
精神障害や発達障害で障害年金を請求するとき、気になる人が多いのが「働いていると障害年金はもらえないのか」という点だと思います。
働いているというだけで、直ちに障害年金を受給できなくなるわけではありません。
精神の障害に係る等級判定でも、単に働いているかどうかではなく、仕事内容や就労状況、職場で受けている援助や配慮などを確認したうえで判断することとされています。
実際、私自身もその後、働きながら障害厚生年金3級の認定を受けています。
一方、最初の請求の開示資料には、
- 就労していること
- 障害者雇用であること
- 勤続期間
- 勤務状況
などが記録されていました。
つまり、「働いていても受給できる」ことと「働き方が審査で確認されない」ことは別です。
私の場合も、就労状況は実際に審査資料の中で確認されていました。
目安より低い認定となるため、複数認定医による確認の対象になっていた
もう一つ興味深かったのが、「複数の認定医による認定依頼実施伺」という資料です。

複数の認定医による認定依頼について作成されていた資料です。
特に確認したいのが「実施理由」の②です。

ガイドラインの目安より下位等級に認定し、不支給となるケースとして実施理由②が選択されていました。
実施理由②は、精神障害の新規請求について、ガイドラインの目安より下位の等級に認定し、不支給となるケースを対象とするものです。
私の資料では、この②にチェックが付いていました。
つまり私の請求は、ガイドライン上の目安より低い結果として不支給となるケースとして、複数の認定医による確認の対象になっていたことが分かります。
不支給通知だけを受け取っていた段階では、こうした審査の流れまでは分かりませんでした。
開示請求をして初めて分かったこと
ここまでの資料を見ると、開示請求をしたことで、単に「不支給だった」という結果だけでなく、その背景にある情報も確認できたことが分かります。
私の場合、特に大きかったのは次の3点です。
診断書から算出された等級の目安を確認できた
最初の請求では、等級目安確認シート上は2級でした。
不支給通知だけでは、このことは分かりませんでした。
就労状況が審査でどのように扱われていたか確認できた
認定調書や事前確認票には、就労していることや障害者雇用であることなどが記録されていました。
少なくとも私の場合、働き方は審査上確認されていた情報の一つだったことが分かります。
目安より低い認定となった際の審査過程も確認できた
ガイドラインの目安より低い結果として不支給となるため、複数認定医による確認の対象となっていたことも、開示資料によって初めて知りました。
こうした情報は、不支給通知だけでは確認できません。
障害年金の審査資料を実際に開示請求した流れ
ここからは、私が実際にどのように審査資料を取り寄せたのかを紹介します。
※以下は2025年に私が書面で開示請求したときの実体験です。現在はオンラインによる請求もできるため、実際に手続する際は厚生労働省の最新案内を確認してください。
1.「障害年金の審査に係る書類一切」として請求した
私は厚生労働省に「保有個人情報開示請求書」を提出しました。

2025年に実際に提出した保有個人情報開示請求書です。
実際の請求書はこのような形式です。
特に参考になると思うのが、「開示を請求する保有個人情報」の欄です。
私は「障害年金の審査に係る書類一切」と記載し、対象となる年金請求を特定して請求しました。
私の場合は、
障害年金の審査に係る書類一切
と記載しました。
さらに、どの障害年金請求についての資料なのか分かるように、請求を受け付けた日と年金事務所も記載しています。
私は書面で請求したため、開示請求手数料として300円分の収入印紙を貼付しました。
2.約1か月後に「部分開示」の決定通知が届いた
私の場合、2025年1月27日に開示請求が受け付けられ、2月25日付で開示決定が出ました。
受付からおおむね1か月です。

実際に届いた保有個人情報の開示決定通知書です。
開示の範囲について確認したいのが、次の部分です。

年金請求の審査に関する書類一式について「部分開示」と決定されています。
私は「書類一切」として請求しましたが、結果は全部開示ではなく「部分開示」でした。
第三者を識別できる情報や、システム上の管理情報など、一部の情報は不開示となっています。
「書類一切」と請求したからといって、すべての情報が無加工で開示されるわけではありません。
3.私は審査資料すべての「写しの送付」を希望した
開示決定後は、どの方法で開示を受けるのかを改めて申し出ます。
私は窓口で閲覧するのではなく、審査資料の写しを郵送してもらう方法を選びました。

「写しの送付」「全部」を選択して、開示された資料一式の郵送を希望しました。
私のケースでは、A4判28枚、A3判7枚が郵送される見込みとされ、郵送料として670円が案内されました。
これは私が請求したときの資料量・郵送料なので、請求する資料によって変わります。
この手続を経て、今回紹介している認定調書などが手元に届きました。
現在はオンラインでも開示請求できる
私が請求したときは書面を利用しましたが、現在はオンラインによる開示請求もできます。
厚生労働省の現在の案内では、開示請求手数料は、
- 書面による請求:1件300円
- オンラインによる請求:1件200円
です。
開示・不開示等の決定は原則として請求から30日以内とされています。
制度や申請方法は変更される可能性があるため、実際に請求する際は厚生労働省の公式サイトで最新の様式・手続方法を確認してください。
開示資料だけでは「なぜその後3級になったのか」までは分からない
開示請求によって、最初の不支給についてはかなり多くのことが分かりました。
ただ、私が本当に知りたかったのは、その先です。
最初は等級目安2級でありながら非該当だったのに、なぜその後は働きながら障害厚生年金3級に認定されたのか。
これを考えるには、最初の不支給時の資料だけを見るのではなく、その後の請求と比較する必要があります。
私の場合は、
- 診断書の内容
- 就労状況の記載
- 日常生活上の援助
- 審査資料上の評価
などを、1回目とその後の請求で比較しました。
実際に並べて見ると、結果が変わるまでの違いがかなり具体的に見えてきました。
1回目の不支給と、その後の3級認定の違いはnoteで詳しく紹介しています
私は最初の請求では不支給となりましたが、その後、働きながら障害厚生年金3級の認定を受けました。
有料noteでは、今回紹介した最初の開示資料だけでなく、その後の認定資料と比較して分かったことを詳しくまとめています。
- 最初の不支給時と、その後の認定時で何が違ったのか
- 診断書の記載で変わった部分
- 就労状況がどのように記載されていたか
- 生活上の援助について何が変わったのか
- 不支給後に確認・整理したこと
- 実際の決定書や認定資料を比較して分かったこと
特に、「働いていると障害年金は難しいのか」「診断書の数値が重ければ認定されるのか」と気になっている方には、一つの実例として参考になると思います。
まとめ|開示請求すると不支給通知だけでは見えない審査の中身がわかる
障害年金の不支給後に開示請求をしたことで、私は初めて審査の過程を具体的に確認できました。
特に印象に残ったのは、
- 診断書から算出された障害等級の目安は2級だった
- 最終的な認定結果は非該当だった
- 就労状況が審査資料に具体的に記録されていた
- ガイドラインの目安より低い結果となるため、複数認定医による確認の対象になっていた
という点です。
これらは、不支給通知だけでは分かりませんでした。
一方で、開示資料を読めば、不支給になった理由が一つの答えとして簡単に出てくるわけでもありません。
診断書、生活状況、就労状況などを合わせて見ていく必要があります。
私の場合は、さらにその後の認定資料と比較したことで、最初の不支給時との違いがより具体的に見えるようになりました。
障害年金の結果に疑問があり、「実際にどのような審査が行われていたのか確認したい」という場合には、開示請求は有力な方法の一つだと思います。