障害当事者であり、一般企業の障害者雇用でフルタイム勤務している、むじなです。
私は自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠如多動症(ADHD)について障害年金を請求し、障害厚生年金3級に認定されました。
ただし、最初から認められたわけではありません。
- 1回目の請求は不支給
- 不支給に対する審査請求も棄却
- その後、事後重症として2回目の請求
- 2回目の請求で障害厚生年金3級に認定
1回目も2回目も、私は一般企業の障害者雇用でフルタイム勤務を続けていました。
「フルタイムで働いているなら、障害年金は受給できないのではないか」と考えている方は少なくないと思います。私自身も、勤務を続けていることが審査でどのように扱われるのか、申請前にはよく分かりませんでした。
そこで、支給決定後に個人情報の開示を申し出て、実際の審査に使われた認定調書を入手しました。この記事では私の経緯と、開示資料から確認できた2回の審査の違いを紹介します。
結論:フルタイム勤務中でも障害厚生年金3級に認定された
私のケースでは、一般企業にフルタイムで勤務し、給与や賞与を受け取りながら、障害厚生年金3級に認定されました。

上の画像は、実際に交付された年金証書と年金決定通知書です。氏名、住所、基礎年金番号、年金額など、個人の特定につながる部分は黒塗りにしています。
もっとも、「フルタイム勤務でも必ず受給できる」という意味ではありません。
精神の障害に関する年金の等級は、診断名だけで決まるものではなく、症状、治療経過、日常生活、就労状況、周囲から受けている援助などを踏まえて総合的に判断されます。日本年金機構も、精神障害・知的障害の等級判定について、標準的な考え方と考慮すべき事項を示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を公開しています。
つまり、重要なのは「働いているか、働いていないか」という二択ではなく、どのような配慮や援助を受けて、どの程度の負担を抱えながら勤務と生活を維持しているかです。
私の障害年金請求の経過
| 時期 | 手続き・結果 |
|---|---|
| 2024年10月18日 | 障害年金を初回請求 |
| 2025年1月8日 | 1級・2級・3級のいずれにも該当しないとして不支給 |
| 2025年3月24日 | 不支給処分に対して審査請求 |
| 2025年5月21日 | 事後重症として2回目の請求 |
| 2025年6月30日 | 認定調書上、認定医が3級と判断 |
| 2025年7月23日 | 1回目の不支給に対する審査請求は棄却 |
| 2025年9月4日 | 障害厚生年金3級の年金証書が発行 |
少し分かりにくいのですが、1回目の不支給に対する審査請求を進めている途中で、事後重症として2回目の請求を行っています。
そのため、最終的には「1回目の処分は妥当なので審査請求は棄却」「その後の状態を基準にした2回目の請求は3級認定」という2つの結果が並ぶことになりました。
1回目は、なぜ不支給になったのか
最初に届いた不支給決定通知書には、「請求日現在の障害の状態は、障害年金1級・2級および3級の対象となる障害に該当しない」という結論が書かれていました。
しかし、この通知書だけを読んでも、何がどのように評価され、なぜ3級にも該当しないと判断されたのかは分かりません。
その後に受け取った審査請求の決定書を読むと、診断書に記載された日常生活上の困難だけでなく、勤務を継続している事実や就労状況が詳しく検討されていました。私のケースでは、働けているという結果だけでなく、その働き方がどの程度安定していると評価されたかが大きなポイントだったと読み取れます。
決定書には、勤務形態、出勤状況、仕事内容、勤務の継続性などについて具体的な記載があります。有料noteでは、この決定書の必要部分を掲載し、どの事実が不支給判断の根拠として挙げられたのかを詳しく整理しました。
2回目の請求で確認できた、2つの大きな変化
2回目も、診断名はASD・ADHDであり、一般企業の障害者雇用でフルタイム勤務を続けている点は同じです。
それでも、個人情報開示で入手した認定調書を1回目の決定書と比較すると、少なくとも次の2点に明確な違いがありました。
1.勤務形態が、出社から在宅勤務へ変わった
1回目の請求時には、家族の送迎と公共交通機関を利用して通勤していました。一方、2回目の請求時には在宅勤務へ移行し、体調に応じて休憩時間を延長するなどの配慮を受けていました。
同じ「フルタイム勤務」であっても、出社して勤務を維持している状態と、在宅勤務や柔軟な休憩を前提として勤務を維持している状態とでは、実際の負担や必要な配慮が異なります。
2.家庭環境が変わり、家族の援助が減る見込みとなった
私は日常生活の多くを家族の援助に頼っていましたが、家庭環境の変化により、それまでと同じ援助を受け続けることが難しくなると見込まれていました。
障害年金の審査では、現在できていることだけでなく、それが本人の力だけでできているのか、家族や職場の援助によって成り立っているのかも重要です。外からは自立して見えても、援助がなくなれば生活の維持が難しくなる場合があります。
ただし、この2点だけが「決定打だった」と断定することはできません。障害等級は複数の事情から総合的に判断されるためです。正確には、1回目と2回目の資料を比較したとき、審査記録上の大きな違いとして確認できたのがこの2点だった、というのが私の考察です。
「働けている」と「支障なく働けている」は同じではない
今回の経験で強く感じたのは、勤務実績の表面だけでは、障害による制限は伝わりにくいということです。
- 障害者雇用として、どのような業務上の配慮を受けているか
- 通勤や対人関係に、どの程度の負担があるか
- 勤務後や休日に、生活を維持する余力が残っているか
- 家事、金銭管理、通院、服薬などを誰の援助で行っているか
- 現在の就労や生活が、援助なしでも継続できる状態なのか
こうした事情を含めて、はじめてその人の実際の状態が見えてきます。
もちろん、申請のために状態を大きく見せたり、事実と異なる内容を書いたりしてはいけません。必要なのは、できないことだけを並べることではなく、何が、どのような援助や配慮によって成り立っているのかを、事実に即して伝えることだと思います。
不支給通知だけでは、審査の核心は分からなかった
障害年金の不支給通知には結論が記載されますが、審査過程の細かな評価までは分かりません。
私は審査請求の決定書と、2回目の請求後に開示された認定調書を読んで、ようやく「どこを見られていたのか」を具体的に理解できました。
ネット上には障害年金の解説記事が多数ありますが、同じ人について、初回不支給と2回目の認定を公的な審査資料で比較できる例は多くありません。
決定書・認定調書を有料noteで公開しました
有料noteでは、私が実際に受け取った資料について、個人情報や第三者・勤務先の特定につながる部分を黒塗りしたうえで掲載しています。
- 障害厚生年金3級を受給していることが分かる年金証書
- 1回目の不支給決定通知書
- 不支給に対する審査請求の決定書
- 審査請求で、勤務状況がどのように評価されたか
- 2回目の事後重症請求に関する認定調書
- 認定調書に記録された就労・生活・援助の状況
- 1回目と2回目で変わった点、変わらなかった点
- 資料を比較して私が考えた、フルタイム就労者の審査上のポイント
「働いているから請求しても無理だろう」と迷っている方や、不支給となった理由をどのように考えればよいか悩んでいる方にとって、一つの具体的な判断材料になると思います。
この事例を読む際の注意点
この記事とnoteで紹介しているのは、あくまで私個人の事例です。同じ診断名、同じ勤務時間、似た生活状況であっても、同じ結果になるとは限りません。
この記事は筆者個人の経験を紹介するもので、個別の申請に対する専門的な助言ではありません。受給要件や請求手続きは、日本年金機構の「障害厚生年金を受けられるとき」を確認し、必要に応じて年金事務所や専門家へ相談してください。
まとめ
- 私は一般企業の障害者雇用でフルタイム勤務を続けながら、障害厚生年金3級に認定された
- 1回目の請求は不支給となり、審査請求も棄却された
- その後、事後重症として2回目の請求を行い、3級に認定された
- 開示資料を比較すると、勤務形態と家庭から受ける援助の状況に大きな違いがあった
- ただし、特定の2点だけで認定されたと断定はできず、審査は個別事情を踏まえて総合的に行われる
フルタイムで働いているという一つの事実だけで、障害による生活上・就労上の制限がなくなるわけではありません。私の記録が、同じような状況で悩んでいる方が自分の状態を整理するきっかけになれば幸いです。