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障害当事者であり、採用担当でもあるむじなです。
障害者には就職・転職先を探す方法が2つあります。
障害者が応募してくることを前提とした「障害者枠」と、誰でも応募できる「一般枠」です。
私の障害当事者としての経験上、障害者採用担当者としての経験上、このブログでは「障害者枠」での就職・転職をおすすめしています。
が、WEB上には多くの無責任で誤った情報がたくさんあり、「一般枠の方が良いのでは?」「障害者枠はこういう不利があるのでは?」という多くのご質問や悩み相談が寄せられています。
(障害者の就労支援を手掛けている業者のWEBサイトでも、そういう誤った(古い)情報が見受けられましたので、今回記事にすることにしました。勉強不足なのか、自社のサービスに誘導するためか……)
今回は、障害者の「一般枠」「障害者枠」の就職・転職について改めて解説し、一般枠の就労の可能性について考えたいと思います。
注釈:この記事でいう「一般枠での就職・転職活動」とは、「障害をオープンにして一般枠に応募する」ということです。クローズ(障害を公開しない)での就職・転職活動に特殊なノウハウが必要とは思いませんので(健常者の就職・転職活動と同じなので)、このブログでは取り上げません。
障害者枠で就職・転職することのメリット
障害者枠で就職・転職することのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 障害者専用の求人枠なので、競争率が相対的に低い(一般枠は健常者と枠を争わなければならない)
- 入社後、障害に配慮のある働き方ができる可能性が高い(入社する会社次第ですが)
- 未経験の職種にもチャレンジしやすい、(若手に限らず)未経験OKな求人が多い(障害者は「プラスワン」の枠として考えている企業が多いため、未経験でもまずはサポート的な業務から入れる)
- 年齢・経歴・スキルから考えて、一般枠では入社が難しいような大企業・優良企業に入社できる(採用担当者として、自社の経験上+他社の話を聞く限り、間違いないでしょう)
上記のようなメリットが、障害者にとってあまりに大きいため、私は「障害者枠」での就職・転職をおすすめしています。
なお、障害者枠のデメリットとして、「軽作業や事務補助など簡単な仕事しかない」「昇格・昇給がない」という話を聞きます(目にします)が、それはそういう会社もあるというだけの話です。「障害者枠」の特徴ではありません。
確かにそういう会社はありますし、「採用HP」や「転職サイト(転職ナビ)」で見分けることは難しいかもしれません。
しかし、障害者専門の転職エージェントを利用すれば、
- 一般枠と同じ昇格・昇給スピード(制度)で
- 正社員 or 正社員登用のある契約社員で
- 専門的な or 将来的にスキルアップが望める職種で
- かつ「自分の障害の受け入れ体制が整っている」会社
を見つけてピンポイントで応募できますので、「障害者枠」のデメリットはなくなります。
そういうわけで、私の経験上、「障害者枠+障害者専門転職エージェントの利用が最強」だと考えているので、このブログでは皆さんにおすすめしているわけです。
合わせて読みたい
「そんなに上手くいくはずがない!」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、「一般枠」に比べて「障害者枠」の難易度が低いことは間違いないので、「障害者枠」でダメなら「一般枠」で希望の条件をかなえることはもっと難しいと思います。
※「障害者枠なら誰でも簡単に就職・転職できる」ではなく、あくまで「一般枠」と比較しての話です。
一般枠で就職・転職することのメリット
一方、「一般枠」で就職・転職活動することにも、メリットはあります。
一般枠の最大のメリットは、「自分が磨いてきた能力・専門性が求められる求人をピンポイントで見つけられる」ということです。
近年、障害者雇用の社会的な気運はますます高まっていますので、規模の大小を問わず多くの会社が障害者雇用を積極的に進めています。
とはいえ、「一般枠」での求人数に比べれば、まだまだ「障害者枠」の求人が少ないことも事実です。
「障害者枠」では、「あなたの能力・専門性を高く評価してくれる会社が、そもそも障害者枠で求人を出していないかもしれない」というデメリットがあることも事実でしょう。
なので、「例え障害があり不利な面があったとしても、それを補って余りある能力・専門性がある」という方は、一般枠でチャレンジすることも良いでしょう。
一般枠で就職・転職活動する際のポイント
「一般枠」で就職・転職活動するということは、「ハンディのない健常者と同じ枠を競い合う」ということですので、「これまでの経歴・スキル(+若ければ伸びしろ)で勝負する」ということです。
が、例え「経歴・スキル」が上回っていたとしても、あなたが採用されるとは限りません。
そもそも、「一般枠」に障害者が応募してくることを想定していない会社もありますので、障害者だというだけで、経歴どうこうではなく、落とされることもあります(そういう会社には勤めない方が良いと思いますけど)。
障害者が障害をオープンにして「一般枠」に応募するということは、多くの「門前払い」を受ける覚悟が必要です。「障害者枠」の何倍も、時間と労力が必要と考えましょう。
また、障害に配慮した働き方を前提とする「障害者枠」と違って、必要な配慮は会社との交渉で勝ち取っていく必要があります。
「特に就業上必要な配慮はない」という方なら問題ありませんが、そうでなければ「この人は絶対採用しなければいけない」と思わせるだけの「突き抜けた能力・専門性」か、自分に必要な配慮を引き出すだけの「交渉力」が必要です。
最後に:障害者でも利用できる「一般向け転職エージェント」一覧
一般枠でも、転職エージェントを利用した方が就職・転職活動を有利に進められるのは同じです。
しかし、一般向けの転職エージェントで、障害者にも求人案件を紹介してもらえるのか?私も経験がありませんでしたので、各転職エージェントの担当の方にお話を伺いました。
下記で紹介するのは、(条件付きも含めて)障害者でも利用OKな一般向け転職エージェントです。
ワークポート(WORKPORT)
ワークポートは、2003年設立の、中堅どころの転職エージェントです。10年以上ITに特化した案件を扱っていましたが、ここ5年ほどは「総合型転職エージェント」として、様々な業界・職種を紹介しています。
あまりネームバリューはないかもしれませんが、リクナビNEXTやDODA主催のランキングで「転職決定人数部門 第1位」に選ばれるなど、実力は保証済みです。
障害者の利用について確認したところ、回答は下記の通り。
- 障害者枠での就業希望ではない
- 週5日フルタイム勤務可能
- 電話応対可能
あとは、健常者と同じく、「スキルや経歴、年齢にもよりますが、上記項目もすべて満たしている方で、弊社側でご紹介できる求人がある際にはサポート対象とさせていただいております」とのこと。
私のような聴覚障害がある方は残念ながらサポート対象外のようですが、おおむね妥当な条件と言えるでしょう。
ワークポートは問い合わせ後、一番に(即答で)回答してくれました。
つまり、「健常者に限らず、様々な応募者をサポートする意思と体制があり、社内で統一見解を持っている」ということです。
障害があるというだけで門前払いする会社でないことは確か。あとはあなたの実力次第です。
パソナキャリア
人材業界3番手の大手転職エージェント、パソナキャリア。
流石の大手で、求人案件数は30,000件以上と業界トップクラス、取引企業もベンチャーから大企業まで多岐にわたり、志向にあわせた案件を紹介してもらえます。
障害者の利用について確認したところ、回答は下記の通り。
- 障害者手帳をお持ちの方も、サービス利用対象に含まれます。
- ただご支援の実績としては余り多く無いのも事実ですので、母数としてはそこまで多くないかと思われます。
パソナキャリアも、上記のワークポート同様、早急に回答を頂きました。会社として「健常者に限らず紹介可能」という方針なのは間違いなさそうです。
「母数としてはそこまで多くない」ということですが、そこは業界3番手の超大手ですので、そもそも案件数自体は膨大な数です。
ワークポートのように明確な条件がない分不安な点もありますが、「障害者でも利用できる大手転職エージェント」として、一般枠で就職・転職を目指す障害者であれば是非利用したいですね。
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